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公明党市議団の「大バクチ」に破壊される大阪市と日本の未来=内閣官房参与 藤井聡

住民投票の結果が覆される「異常事態」が大阪で起きようとしている

そもそも一昨年、平成27年5月17日に「都構想=大阪市廃止」が住民投票で否決されて以降、一部の維新勢力を除けば過半数の人々が「住民投票」には反対していました。「住民投票」で結果がいったん出た以上、これは至極当然の話です。

例えば、イギリス世論を二分したEU離脱、いわゆるブレグジットの住民投票でも、賛否が拮抗し、最終的にはわずかな差で「EU離脱」が決定されましたが、結果が出た後は、離脱反対派もしぶしぶその結果を厳粛に受け止め、離脱の手続きが粛々と進められています

「直接民主主義」の住民投票で決せられた結果には、「重大な意味がある」というのが国民的コンセンサスになっているからです。これはいわば、民主主義国家の「常識」です。

したがって、英国ではブレグジットの賛成派も反対派も、「直接民主制の住民投票でいったん結果が出れば、(よほどのことが無い限り)後戻りは許されない――」ということを最低限の共有認識として、「投票日」まで必死に「論戦」を戦わせたのです。

ところが大阪では、そうした「常識」が通用しない「異常事態」が、まさに今、生じようとしています。
http://www.asahi.com/articles/ASK2R3V2SK2RPTIL005.html

それを起こそうとしている中心勢力はもちろん、「大阪都構想=大阪市廃止解体構想」を進めようとする「維新」勢力。ですが上述の様に、彼らは大阪府議会でも市議会でも過半数の議席を持っておらず、彼らだけでは「住民投票・再チャレンジ」は不可能です。したがって、「再チャレンジ」のためには、維新以外の勢力の「協力」が不可欠です。

では、「誰が維新に協力をしているのか」というと、それこそ「公明党・大阪市議団」なのです。

公明党・大阪市議団が「維新の会」に加担する見返りとは

もちろん、公明党・大阪市議団は、「何の見返りも無く」ただただ維新に荷担しているのではありません。彼らは、自らが主張する「大阪市の『行政区』を束ねて、いくつかの『総合区』をつくる」というアイディアに、維新が賛成する「見返り」として、「住民投票」(の可能性が生ずる協議会の設置)に賛成する見通しとなっている、という次第なのです。

もしこの「報道」が正しいとすれば、公明党・大阪市議団は、「総合区をつくるという自らのアイディアを通すために、大阪市が解体されるかも知れない大バクチを打とうとしている」ということになります。

これは、大阪市民にしてみれば、「たまったもの」ではありません。そのバクチで、公明党・大阪市議団の私物を賭けるのなら別に問題はありませんが、そこで賭けられているのは、他ならぬ「大阪市民の自治」だからです。

もちろん、公明党が主張する「総合区」が良いものである可能性はありますし、大阪市民が自分自身の「自治」など要らぬと判断しているのなら、それでも構わないのかもしれませんが――「大阪市民の自治」は、大阪市民が「残します!」と住民投票を通して決定した程に市民にとって貴重なものなのです。

いわばあの住民投票は、大阪市民にとって、「大阪市民の自治」は失ってはならぬ「極めて貴重なもの」であるということを、大阪市民自身が再確認する大がかりな「一大イベント」だったのです。

にも関わらず、そこまで「貴重なもの」を差し出すような大バクチを、公明党・大阪市議団が打つことが正当化されるのかどうか――筆者はあえてここで明言致しませんが、当の公明党・大阪市議団やその支持者の方々を含めた日本全国の良識ある国民の皆様に問いかけたいと思います。

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