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米国株を空売りする天才アインホーンは「成長の罠の罠」に敗れるのか?=東条雅彦

グロース株(成長株)の大暴落を予想するアインホーン

アインホーンが最近、手がけている取引はグロース株の空売りです。米ネット通販大手アマゾン・ドットコム、米映像ストリーミング配信大手のネットフリックス、米電気自動車大手のテスラの株に売りを仕掛けてきました。

2017年8月にアマゾンが米生鮮スーパー大手ホールフーズを買収した際には「アマゾンが競合を潰せても、そうした競合の得ていた利益を横取りできるとは限らない」と、否定的な見方を示していました。

ところが、アマゾンは11月15%、通年で50%以上の上昇を見せて、アインホーンはコテンパンにやられています。さらにネットフリックス株も11月に+8.7%、通年で60%以上、上昇しており、とても好調です。唯一テスラだけが11月に5%下げましたが、通年では50%以上も上昇しています。

これらのグロース株は暴落しそうで、なかなか暴落しません。アインホーンの予想が当たる日が来るのでしょうか?

確かにアインホーンの予想が当たりそうな局面は何回かありました。しかし、ある程度、下げると、すぐに「買い」が入っている状況が続いています。こういう時は「売り」で入るのは危険だと思います。

アインホーンが売っている銘柄の共通点

アインホーンが売っていた銘柄「アマゾン(AMZN)」「ネットフリックス(NFLX)」「テスラ(TSLA)」の3社には次の共通点があります。

共通点1:高成長率
共通点2:高PER

次の表はアマゾン、ネットフリックス、テスラの売上高成長率になります。どの企業も年間30%程度の成長を記録しています。

<アマゾン、ネットフリックス、テスラの売上高成長率>

171219tojyo_t1

そして、これらの企業はいずれも損益計算書に記載されている純利益をほとんど計上していません。純利益は売上高から費用を差し引いた金額です。

<計算式>

売上高 - 費用 = 純利益

売上高が上昇していても、費用も連動して増やした場合、純利益はほとんど残りません。成長企業の場合、自社ビジネスへの投資を優先して費用を増やすため、手元に利益が残りません。そのため、PERで見ると「超・割高」になります。

<計算式>

株価 ÷ 1株あたり純利益 = PER

<アマゾン、ネットフリックス、テスラのPER>

171219tojyo_t2

アマゾンとネットフリックスのPERは3桁以上です。そして、テスラに至っては万年赤字の会社なので、PERを求められません。

シーゲル博士の教えに厳格に従うのなら、この3社は投資してはいけない株だと言えるでしょう。アインホーンの目から見ても、異常な光景に映っているはずです(いや、実際に「異様」だと思います)。

Next: アインホーンが恐れる「新しいパラダイム」とは?

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