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米国株を空売りする天才アインホーンは「成長の罠の罠」に敗れるのか?=東条雅彦

ベンチャー企業の評価手法を使うと、どうなる?

先程のアマゾン、ネットフリックス、テスラのPSR(株価売上高倍率)は、次のように推移しています。

<アマゾン、ネットフリックス、テスラのPSR>

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PSRは「株価が1株あたり売上高の何倍で推移しているか」(計算式:PSR=株価÷1株あたり売上高)を示す指標です。事業規模を示す1株あたり売上高よりも株価が大きく上昇していた場合、「バブル」の可能性がとても高いと言えます。

上記3社のPSRは意外にも「今が特別に高い」という状態ではありません。確かに株価を見ると、これらの3社は一本調子で伸びていて、S&P500を大幅にアウトパフォームしています。

ところが、PSRは大幅に上昇していません(※:黄色、水色、紫色の網掛け部分を参照)。単に事業拡大に合わせて株価が上昇している状況が、長期に渡って続いているだけとなります。

異変はやはり「リーマンショック」以降に起きていた

21世紀型のグロース株が市場平均を大幅にアウトパフォームし始めたのは、2008年のリーマンショック以降となります。そして、グロース株が大幅に上昇し始めたのが2013年を過ぎたあたりからです。

先程の3社とS&P500のパフォーマンスを比較したグラフが次の通りです。

<アマゾン VS S&P500>

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<ネットフリックス VS S&P500>

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<テスラ VS S&P500>

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アインホーンがこれらのグロース株を売りたがる理由もわかるような気がします。

もう5年以上もグロース株がS&P500をアウトパフォームし続ける異常事態が続いています。いつか暴落するのでは!?と予想しても、何も不自然ではないと思います。

しかし、前述の通り、21世紀型グロース株は期待だけで株価が上昇しているのではありません。売上高という事業実態が伴っています。

アインホーンのグロース株暴落の予想が的中するかどうかは、事業が不調になるという条件が加わらないとなかなか難しいと私は感じています。

逆に、もし業績とは無関係に株価が暴落するのなら、長期投資家にとっては「絶好の買い場」となるでしょう。

アインホーンの予想が正しいのかどうか、それはもう少し未来にならないと、わかりそうにありません。

Next: まとめ:21世紀型グロース株に見る「成長の罠の罠」

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