2014年初頭の売り崩し相場が再来?
最後に日本市場の見方ですが、税制改革法案後にドル安が進みやすく、米株式も調整しやすいということを考えると、日本円は上昇しやすく、日本株はリスクオフに向かいやすいでしょう。
9月下旬からの日本株の急上昇を演出した外国人投資家の歴史的な買いは既に売り越しに転じて1ヶ月程度が経過しています。その代わりに、高値で本邦投資家が買い越しているのですが、この結果、先週時点で外国人投資家の先物ロングはかなり解消されています。
一方の現物は、9月以降に買い越しした半分程度しか売っていませんが、法案成立となって出尽くしになれば一気に売りを増やす可能性は高いと思われます。
外国人が高値まで買い上がり、ずっと売り越してきた国内勢が耐え切れず買いに転じたところが株価のピークというケースは、直近では新興国通貨危機で日本株が14000円まで暴落した2014年初頭がありますが、当時も外国人売りで調整する日本株を国内勢が押し目買いとばかりに必死に買いまくって、お腹一杯になってから新興国危機で急落したのです。
今回は当時より2ヶ月ほど、外国人の買いや売りのスタートが早いので、国内勢がふんだんに買い支えするのもまた早くなっています。このペースで外国人が売り続けると、恐らく年内にはロングは処分し終え、高値で国内勢に付け替えることに成功するので、以降の日本株を買い上げる主体はいなくなります。
そうした中で、税制改革法案成立による出尽くしや金融引き締めによるリスクオフで世界的に株価が調整した場合、2014年初頭の危機同様の動きになるリスクは十分にあります。
元々米国主導の株価上昇であり、日本固有の上げ要因がなかった以上、本邦投資家はここから買い上げるだけの確信を持ち合わせていません。確信を持って売り続ける主体に対し、安く拾うことしかできない投資家が押し目を拾い続け、十二分に買ったあとに起こることは売り崩ししかありません。
既に株価下落の兆しになりうるネガティブな金融政策や地政学的リスクが山積している以上、年明け前後からの日本株は下方サイドに波乱含みと言えるでしょう。
本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年12月20日)
※太字はMONEY VOICE編集部による
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