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2017年 有馬記念特集「キタサンブラックに死角あり!?」の巻(12/24 中山芝2500m)

有馬記念の魅力を伝えるこのシリーズ。今回は、有馬記念の出走馬を確認した上で、当日のレース展開を予想する。よく新聞記事で出走馬のデータが出ているが、ビギナーが見ても何が書いてあるのかわかりにくい。まずは出走馬を見る上で重要なチェックポイントを紹介する。

①馬の年齢

 有馬記念は、近年「3歳馬が有利」といわれるレース。馬の調教技術の進歩によって若いうちに強い馬体が育成されることと、2キロの斤量差がその理由として考えられる。また、1984年以降、1着になった馬は3歳から6歳馬まで。それ以上の高齢馬は厳しい戦いが予想される。

②馬の性別

 有馬記念は基本的に牡が有利と考えられる。牝馬が有馬記念をあげたのは、近年では2014年のジェンティルドンナと2008年のダイワスカーレットのみ。ジェンティルドンナにいたっては、ドバイの国際レース(G1)を勝利するなど牡馬顔負けの活躍であった。まれにいる「セン馬」というのは、牡馬を去勢手術した場合の性別表記。

③騎手

 騎手の腕も勝敗に大きく関係する。近年の有馬記念では3着以内に外国人騎手が絡むことが多い。

④戦績

 戦績は、その馬が〔1着、2着、3着、4着以下〕になった回数が書かれている。例えばキタサンブラックは〔11.2.4.2〕。1着が11回、2着が2回、3着が4回、4着以下が2回ということ。長期的な戦績を見ることで、馬の実力を測ることができる。

⑤前走

 優秀な馬でも、ピークを違うレースに合わせている場合や調子が落ちている時には、実力を発揮できない。直前の成績は判断の目安になる。

 このポイントを踏まえた上で、今年出走予定の馬を、ファン投票の人気順にチェックしていこう。

9

■ファン投票1位:キタサンブラック(牡5歳)
戦績〔11.2.4.2〕。武豊騎手。
重賞:9勝(GI6勝)。今年の天皇賞春秋連覇。前走のジャパンでは落鉄(蹄鉄がレース中に外れてしまうこと)の影響もあり3着だが、「負けてなお強し」の印象。有馬記念が引退レースとなる。

■ファン投票3位:サトノクラウン(牡5歳)
戦績〔7.1.1.7〕。ムーア騎手。
天候不良で大荒れの天皇賞・秋でキタサンブラックと壮絶な叩きあいをしたサトノクラウン。前走のジャパンカップでは10着だったのは疲労が原因か。2歳時に東京スポーツ杯2歳ステークスでサトノクラウンにまたがり優勝に導いたムーア騎手が騎乗予定。

■ファン投票5位:シュヴァルグラン(牡5歳)
戦績〔7.5.5.5〕 H.ボウマン騎手〔0.0.0.1〕
重賞:3勝(GI1勝) 前走: 11/26ジャパンC1着 前走ジャパンCでGI初優勝。
天皇賞・春でキタサンブラックに続く2着だったシュヴァルグラン。前走のジャパンカップに続き、今年のロンジンワールドベストジョッキーであるH.ボウマン騎手で参戦。

■ファン投票9位:ミッキークイーン(牝5歳)
戦績〔5.5.3.3〕。浜中俊騎手。
父親はディープインパクト。一昨年のオークスと秋華賞を制し牝馬2冠に。宝塚記念以来のエリザベス女王杯では3着。休み明け2走目となる有馬記念でパフォーマンスを上げてくるか。「牡馬に食ってかかる馬の大本命はミッキークイーン」という見方も。

■ファン投票12位:ヤマカツエース(牡5歳)
戦績〔7.1.4.15〕。池添謙一騎手。
前走のジャパンカップでは大外枠で奮闘し8着。小回りが得意で中山での走りは〔2.0.0.1〕と好成績。今年の金鯱賞など重賞を5勝挙げており、2016年の有馬記念も4着と好走している。中距離が主戦場だが、今年の有馬記念も光明がある一頭といえるだろう。

■ファン投票13位:レインボーライン(牡4歳)
戦績〔3.3.4.9〕。岩田康誠騎手。
歴史的な不良馬場で行われた天皇賞・秋で、キタサンブラック、サトノクラウンに次ぐ3着。前走のジャパンカップでは、最後方から最速で追い込んで6着に入線。稀代の曲馬、父ステイゴールドの血が可能性を感じさせる、一発逆転の可能性のある馬。

■ファン投票15位:シャケトラ(牡4歳)
戦績〔4.1.1.4〕。福永祐一騎手。
春の日経賞を上げている他、今年の宝塚記念では、G1実績のない中で粘りのある走りをして4着につけている。今年の秋は15着、前走のジャパンカップは11着と下り調子か。

■ファン投票16位:スワ―ヴリチャード(牡3歳)
戦績〔3.3.0.1〕。M. デムーロ騎手。
前走のアルゼンチン共和国杯を制して臨むスワーヴリチャード。鞍上に迎えるのは、今秋G1・10戦連続で馬券圏内という驚異の成績を残すミルコ・デムーロ騎手。重賞勝利数では断トツの1位ということもあり注目が集まる。ポイントは中山競馬場を攻略できる器用さがあるか否か。

■ファン投票18位:サウンズオブアース(牡6歳)
戦績〔2.8.1.12〕。C. デムーロ騎手。
2014年菊花賞、2015年有馬記念、2016年のジャパンカップなど、重賞での2着が7回あることから「最強の2勝馬」の異名を持つ。秋2戦は京都大賞典13着、ジャパンカップ12着と厳しい戦いが続いている。

■ファン投票20位:ルージュバック(牝5歳)
戦績〔6.2.0.9〕。北村宏司騎手。
牝馬ながら、牡馬相手に重賞4勝の実績を重ね「天才娘」と呼ばれている。北村宏司騎手とのコンビでは、2走前、中山競馬場のGⅡオールカマ―で重賞勝利を挙げた。前走のエリザベス女王杯では2番人気だったが9着に留まる。天才娘が有馬の舞台で踊るか?

■ファン投票39位:クイーンズリング(牝5歳)
戦績〔6.2.0.10〕。C. ルメール騎手。
2016年のエリザベス女王杯で優勝。今年の秋はアイルランド府中牝馬4着、エリザベス女王杯7着と苦戦し、牝馬限定でもなかなか馬券に絡めていない。

■ファン投票45位:サクラアンプルール(牡6歳)
戦績〔6.3.1.11〕。蛯名正義騎手。
今年8月に札幌記念(G2)を制したサクラアンプルール。前走の天皇賞・秋では8着。ゆとりのあるローテーションで有馬記念に挑む。

■ファン投票54位:カレンミロティック(セン9歳)
戦績〔6.6.6.22〕。川田将雅騎手。
今回一番の高齢馬。前走のアルゼンチン共和国杯5着から有馬記念への臨戦。川田騎手とは新コンビ結成。2014年宝塚記念で2着、2016年天皇賞・春で2着に入り、人気薄ながらGIレースで度々穴をあけている。

■ファン投票75位:ブレスジャーニー(牡3歳)
戦績〔3.0.2.1〕。柴田善臣騎手。
2歳時点で「ダービー候補筆頭」とまでいわれた素質のある馬だが、右トウ骨遠位端骨折により休養。休み明け雨の菊花賞では大敗したが、2走目のチャレンジカップでは3着という臨戦過程で有馬記念へ。完全復活が期待される。

■ファン投票80位:サトノクロニクル(牡3歳)
戦績〔3.3.1.2〕戸崎圭太騎手
前走のチャレンジカップ(G3)では、人気に応えて重賞初勝利を挙げた。

■ファン投票81位:トーセンビクトリー(牝5歳)
戦績(6.2.3.10) 田辺裕信騎手
2017年の中山牝馬ステークスに優勝。エリザベス女王杯10着からの臨戦。田辺騎手とは有馬記念で新コンビ結成となる。

(※記事は執筆時点での情報に基づいているため、変更の可能性があります)

 さあ、この中から1位になるのはどの馬だろうか? 競馬歴30年で、馬主でもある競馬愛好家MZ氏の予想を聞いてみた。

もし1番人気のキタサンブラックが1着を逃すとしたら?

 有馬記念が引退レースとなるキタサンブラックは、今年のファン投票でも1位と大人気。多くの競馬ファンがキタサンブラックの1着を望んでいるはずだ。仮にキタサンブラックが1着を逃すことがあるとしたら、枠順抽選会で「大外」を引いてしまう展開だろうか? MZ氏に聞いてみた。

 「大外をずっと周ることになるとかなり厳しいので、キタサンブラックにはぜひ内枠を引いてほしいですね。中山競馬場は特殊なコースで、コーナーが多いんです。ギャロップレーサーというゲームを一回やってもらえればわかるんですけど。カーブのたびに大回りになるので、ロスが生まれやすいんです。ただ、キタサンブラックが強い理由の一つは、どの枠順でも大崩れしないというところ。天皇賞秋は出遅れて後ろからいってあの結果(1着)ですから、底が知れません。スタートがうまいので、先行できれば、枠順関係ない強さを見せてくれるかもしれません。逆に言うと、大外を引いた上で出遅れてしまうと危ないですね。出遅れたところで、例えばヤマカツエースが前に出ちゃうとか。ヤマカツエースは普段2000m走っている馬なので2500mは走り慣れていません。ペース配分を間違えて前に出たところに、キタサンブラックが引っかかるという可能性があります」

 ちなみにヤマカツエースは昨年の有馬記念で4着と好走している馬なので、ペース配分を間違えなければ上位に入線する可能性はある。昨年ヤマカツエースの前にいたサトノダイヤモンドとゴールドアクターは今年の出走を回避しているので、「3着までならヤマカツエースが入ってもおかしくない」とMZ氏。

馬の体質による疲労度の度合いは?

 他にキタサンブラックが負ける要素があるとすれば、過去の戦いの「見えない疲れ」だという。

 「キタサンブラックは秋2戦していて、有馬記念で3戦目なんですね。去年の有馬記念も、大負けした宝塚記念も、3戦目のレースでコテッと負けちゃっているので、思った以上に疲れがたまっている可能性があります。それは馬そのものの体質でもあるんですよ。キタサンブラックが中長距離戦線でデビューした当時、あまり人気が上がらなかったのは、母方の祖父がサクラバクシンオーだからなんです。サクラバクシンオーは1200mのチャンピオン馬なんですね。要はスプリンターの血を継ぎながら、長距離でがんばっているのがキタサンブラックなんです。短距離血統の欠点が、レースの中では出なくても、中長期のサイクルの中では出てしまう。そういうこともあるかも知れません」

 確かに、キタサンブラックの通算成績を見ると、3~4回勝った後に1回負けるという波のようなものが見られる。秋2戦の疲れが有馬記念にどう影響するか懸念される。

MZ氏が注目するのはどの馬?

MZ氏が注目している、今年の有力馬はどんな馬だろうか?

 「競馬は新陳代謝するものなので、世代交代を見ることができるのも競馬ファンの喜びなんです。キタサンブラックも今年で引退なので、若い馬が勝利をさらって、『来年はお前の年だ』というシーンが見られるかもしれません。過去にもそういうレースがあったんですよ。スペシャルウィークとグラスワンダーという人気の馬を追い上げて、3着に突っ込んできたのがペイムオペラオーという馬でした。その後テイエムオペラオーは勝ちまくって2000年の無敗記録を作ったんです。シンボリクリスエスやオルフェーヴルも翌年の時代を作りました。そういう意味では3歳馬のスワ―ヴリチャードには期待できると思っていて。2年前にゴールドアクターという馬が、アルゼンチン共和国杯を経て、有馬記念でめちゃくちゃ強い勝ち方をしたんです。スワ―ヴリチャードもアルゼンチン共和国杯を勝ってきているので距離とローテションの面では期待できると思います。あとは中山競馬場との相性がポイントですね。同じ中山競馬場で行われる皐月賞では2番人気で6着に沈んでいます。あの時みたいに後方待機で大外を回されると惨敗が見えます。が、鞍上はデムーロ、うまく乗ってくれることを期待します」

 ゴールドアクターは、2015年の有馬記念で、単勝17.0倍の8番人気だったが、前を行くキタサンブラックやマリアライトを捕えGI初勝利を有馬記念で飾った馬だ。スワ―ヴリチャードにまたがるのは名騎手ミルコということもあり注目が集まっている。MZ氏いわく今年は有力馬の回避もあってキタサンブラック以下は力関係がはっきりしておらず、どの馬にもチャンスがあるという。
「レインボーラインという馬もチェックしているんです。秋の天皇杯でキタサンブラックとサトノクラウンに次ぐ有馬記念で3着になったので、実力はあるとみています。お父さんがステイゴールドという馬なんですけど、ものすごくクセが強くて。気性が荒くていきなり2着に飛んできたりするような馬だったんですよ。その血を引いているなと感じることがあります。2500mという長距離なので可能性はあると思いますよ。この馬が3着に来てくれるだけでオッズが全然違うんじゃないでしょうか。あとは当然サトノクラウンですね。春のグランプリ(宝塚記念)は勝っていますし、油がのっていると思います。かつて宝塚記念を勝利した馬が有馬記念を勝つケースは少なくありません。ゴールドシップ、オルフェーヴル、ディープインパクト、テイエムオペラオー、グラスワンダー、メジロパーマーがそうですね。去年は香港のG1も勝っているし、この時期は調子がいいんでしょうね。前走ジャパンカップを完勝したシュヴァルグランも、ここに来て再浮上。もう燃え尽きたのかなぁと思ったんですが、ボウマンが乗って変わりました。今年は消せない馬が多くて迷います」

レインボーライン 出典:競馬ラボ

レインボーライン 出典:競馬ラボ

 さすが、名馬の集まる有馬記念だけあって、どの馬が上位に入ってもおかしくないようだ。そうなると、難しいのは馬券の買い方ではないだろうか? 次回は「初心者におすすめの馬券の買い方」を紹介するので、ぜひ自分なりの予想を楽しんでほしい。

by. 三原明日香

記事提供:ViRATES

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