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投資のプロ視点で考える「ソーシャルネットワークとみんなのプロパガンダ」=矢口新

SNSの普及で、誰もが自由に発信できるようになった。政府が情報を独占できなくなった代わりに、国民は政府以外のプロパガンダにも触れるようになったのだ。(矢口新)

※本記事は、矢口新氏のメルマガ『相場はあなたの夢をかなえる ―有料版―』2017年12月21日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:矢口新(やぐちあらた)
1954年和歌山県新宮市生まれ。早稲田大学中退、豪州メルボルン大学卒業。アストリー&ピアス(東京)、野村證券(東京・ニューヨーク)、ソロモン・ブラザーズ(東京)、スイス・ユニオン銀行(東京)、ノムラ・バンク・インターナショナル(ロンドン)にて為替・債券ディーラー、機関投資家セールスとして活躍。現役プロディーラー座右の書として支持され続けるベストセラー『実践・生き残りのディーリング』など著書多数。

建前だけの中立・公平より、何が真実か分からない状態が好ましい

SNS上で行われるプロパガンダ

米連邦通信委員会の委員長は先月、首都ワシントンでのスピーチで、ソーシャルメディアの差し迫った問題について考えるよう、聴取に促した。「ソーシャルメディアは、米国社会にとって、利益の方が大きいのだろうか?

最近までのそうした議論は、フェイスブックなどのサービスの中毒性への恐れや、孤立的な性質に焦点が当てられてきたが、昨年頃から、世界はソーシャルメディアの新な暗黒面に直面している。

ロシアによるプロパガンダのように、社会を根底から引き裂く能力だ。
※参照:The year tech took a dark turn

また、ISやアルカイダなどのテロリストも、フェイスブックやツイッター、ユーチューブ、インスタグラム、スナップチャットなどを通じて、プロパガンダを広め、賛同者のリクルートや、資金調達を進めている。資金提供者たちは、しばしば彼らが支払った寄付金などが、テロリストの手に渡っているとは気付いていない
※参照:It’s not just Russia – terror financiers are also using social media propaganda

ソーシャルメディアの新たな暗黒面とは?

プロパガンダとは、大辞林第三版では、「特定の考えを押しつけるための宣伝。特に、政治的意図をもつ宣伝」と解説している。そして、これらは専ら国家権力の専売特許のようなものとされてきた。

ソーシャルメディアに限らず、インターネットが切り崩したものは、こうした「権力による情報の占有と、発信力の独占」だ。その意味では、上記の「ソーシャルメディアの新な暗黒面」とは、政府がプロパガンダの発信を独占できなくなったために、国民が政府以外のプロパガンダに触れられるようになり、どちらを信じるかを国民自身が判断できるようになったことに他ならない。

それを「暗黒」と呼ぶのは、「情報統制でしか、統一国家の社会基盤を維持できない」という見方の表れではないか。これは、現代社会では中国やロシア、宗教国などに顕著な見方だが、米国や日本なども五十歩百歩と言っていいかも知れない。メディアも自主規制やタブーで、その点は協力的だ。

Next: 多くのプロパガンダが入り乱れ、何が真実か分からなくとも

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