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【新春展望】2018年金融市場は「ビットコイン」と「日銀」が波乱要因に=近藤駿介

追い詰められる日銀

そして、ビットコイン市場と同様に「もはや2017年ではない」という動きを見せそうなのは日本銀行である。こちらは、金融市場に大きな衝撃を与えかねないパワーを秘めている。

2017年のトランプ相場の中において、日銀の存在はほとんど消えていた。実際にFRBは2017年に3回の利上げに加えバランスシート縮小にも踏み切った。そして2018年2月に任期を迎えるイエレンFRB議長の後任問題も大きな注目を浴びた。

そしてECB(欧州中央銀行)も量的緩和の規模の縮小を着実に進めており、市場の関心はいつ利上げという次の段階に進むのかに集まり始めている。

このように欧米の中央銀行が着実に金融緩和の「出口」に歩を進めている一方で、日銀は2017年に全く動かなかった

こうした日米欧の中央銀行の動きに関して注目すべきなのは、FRBとECBが2%という物価目標に届かない時点で「出口」に向かって進み始めたのに対して、日銀は2%の物価安定目標に届かない状況下での「出口論」は時期尚早だとして拒否し続けたことである。

黒田日銀が頑なに「出口論」を拒否するのは、「出口論」を口にすることで異次元の金融緩和の終了を市場に意識させ円高・株安を招く危険性が高いことや、政府日銀が政策目標として掲げ続けている「2%の物価安定目標」を達成するための手段として、異次元の金融緩和という将来にツケを残すリスキーな政策手段が有効なものなのかという批判を避けたいからである。

しかし、2018年に入ると日銀はこの「出口論」を先送りすることができなくなってくる。それは、黒田日銀総裁の任期が4月に迫っているからである。

黒田総裁が続投するにしろ、新総裁が誕生するにしろ、異次元の金融緩和に対する検証と評価を求められることは必至である。実際に、次期日銀総裁の有力候補の一人は、Bloombergのインタビューで「総裁・副総裁の任期が来春に迫ってもデフレ脱却への成果が出ておらず、日銀執行部の退任は当然だ」と指摘するとともに、物価上昇の水準を考えると、なぜ「続投できるのか」「レジーム(体制)を再構築しない限り、デフレから完全に脱却することは無理」と厳しい発言をしている。

つまり、「2%の物価安定目標」の実現までにはなお距離があるという理由で「出口論」を先延ばしすることはできない状況が、近いうちに訪れてしまうのである。

仮に黒田総裁が続投することになったとしても、「2%の物価安定目標」を達成できる見込みが立たない異次元の金融緩和を続ける理由などについての納得できる説明を求められることになるはずである。

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