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毎年恒例、各社の「2018年びっくり10大予想」を深読みして見えてきたもの=東条雅彦

バイロン・ウィーン氏の2018年びっくり10大予想

最初に、ブラックストーンのバイロン・ウィーン氏の予想を見ていきましょう。ウィーン氏は「びっくり10大予想」の生みの親で、投資関係者から最も注目されている予想になります。

【1】
共産主義の北朝鮮については、民主主義国家の韓国との緩衝材であるとしても、中国は最終的には予測不可能な指導者が核を保有することを許容しない。北朝鮮が核開発を継続するのなら、原油と食料の輸出を停止する。

【2】
ポピュリズム、民族主義、無政府主義が世界に蔓延する。コービンが英首相になり、カタルーニャは混乱のまま。Brexitで欧州大陸の協力は強まり、経済成長が加速する。

【3】
ドルがついに息を吹き返す。3%超の米経済成長とトランポノミクスで、ドル建て資産の人気が高まる他、レパトリ減税が助けになる。ユーロ/ドルは1.10、ドル円は120円へ

【4】
米経済は17年より拡大速度が増す。金利高などをきっかけに極端な強気ムードの反動から、S&P500は2,300をうかがう水準に下落する(約10%調整する)場面もある。ただ、米経済成長率が4%に向かうため、株価は再び上昇し、18年の年間では約11%上がり3,000に達する。

【5】
世界経済の成長と発展途上国の予想外の需要高によって、原油先物の指標であるWTIが80ドルになる(約33%の上昇)。

【6】
インフレが懸念事項になる。世界の経済成長がコモディティ価格を押し上げ、先進国のタイトな労働市場は賃上げ圧力をもたらす。そして、米国の平均時給の増加率は4%に近づき、インフレ率は3%を超える

【7】
より高いインフレによって、金利が上昇し始める。FRBは年内に4回利上げし、米10年債利回りは4%へ。FRBのバランスシート縮小は極めてゆっくり行われる。ただ、イールド・スプレッド(利回りの差)が広がることで、株式市場への懸念要因となる。

【8】
NAFTA(北米自由貿易協定)とイランは、最終的には合意する。トランプが彼らを罵っているにもかかわらず、です。NTFTAが終了することで、多くの米国の仕事が失われるからです。トランプはまた、中国の影響力が増していることから、TPPに署名しなかったことを間違いだと思うようになる。そして、アジアの国々に二国間取引を持ちかけるようになる。

【9】
11月の中間選挙では共和党はコントロールを失う。有権者は、トランプが政策を実行できないことや、また、終わりのないネガティブなツイートに対しても失望を感じており、彼に対する国民投票になる。

【10】
中国の習近平は10月の19回党大会で、権限の強化をより進めていく。そして、一時的に失業率の上昇や経済成長の低下を伴うとしても、中国の債務問題に対して注力し、借り入れに関して制限を与える。そして、中国の持続可能性のある成長を確実なものにする、と宣言する。

出典:ブラックストーン

ウィーン氏の今年のびっくり予想は全て「超強気な予想」になっています。景気が良くなって、株価が上昇して、インフレが起きると言っています。そして、金利も上がります。

あと、北朝鮮情勢に対して気になる予想もしています。本当に中国が北朝鮮へエネルギーと食糧の輸出を全面的に停止した場合、北朝鮮が暴発して、地政学的なリスクがさらに上昇していくでしょう。引き続き、北朝鮮の動向には要注意です。

さらにウィーン氏は上記の10大予想とは別に、「2018年に起こる可能性が高い出来事」として(番外編的な位置付けで)次の6つを挙げています。

<バイロン・ウィーン氏の2018年びっくり予想(番外編)>

【11】
投資家たちはヨーロッパや極東の新興マーケットの成長が、アメリカのそれよりも速くなっていることを認識するようになる。

【12】
ミューラー調査は、2016年の大統領選挙におけるトランプファミリーのロシア疑惑について関与を証明できない

【13】
人工知能が急速に社会に浸透していき、サービス業の仕事は自動化されていく。とりわけ影響がある業界は、法律、金融、ファーストフード、アウトレット、ヘルスケア等。にもかかわらず、失業率は4%に低下するので、経済学者たちは疑問を持ち始める。

【14】
サイバーテロはより一般的になり、消費者の消費マインドにまで影響を及ぼし始める。大手金融機関は3日間取引を停止したり、小売業者は個人情報をハッカーから入手したと報じたりといったことが起こる。

【15】
ヨーロッパとアメリカは、インターネットによる創造的破壊について懸念を抱くようになる。小売業者や旧来のメディア業界からの圧力の結果、アマゾン・フェイスブック・グーグルの反競争的な行為についての調査を始める。多くの人々はこれらの会社(アマゾン・フェイスブック・グーグル)に対してあまりにも力がありすぎると考え始める。

【16】
ビットコインのリスクはあまりに大きいため、規制当局は取引を制限する。
<具体的なリスクの内容>
・安全性と健全性の尺度がない
・間違った取引や誤った取引の保証がない
・サイバーリスクが高い
・預金保険がない

出典:ブラックストーン

これらの6つの予想は周りの人々を意図的に脅かす「びっくり予想」というよりか、現実的な予想になっていると感じます。

アマゾン、フェイスブック、グーグルの力は既にとても巨大なものになっています。やがて各国の政府がこれらハイテク企業の下位組織に成り下がってしまうかもしれません。この事態に対して、多くの人が懸念し始める可能性は高いでしょう。

次に、昨年、「仮想通貨の暴騰」を見事に的中させたサクソバンクの2018年の予想を見ていきます。

Next: ビットコインは一転暴落? サクソバンクの2018年大胆予想

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