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「死後は財産を寄付したい」その志をムダにしない遺言書のポイント=山田和美

意外と多い、お金でも受け取ってもらえないケース

団体によっては、事務処理の負担や、受け入れたことによる税金面の負担、その他の不安等や運営の考え方などから、お金であっても受け入れない場合があります。

私は、遺言書の作成をサポートする際に「あの団体に寄付を考えている」という遺言者さまの希望を受けて、いくつかの団体や企業に確認したことがあります。ですが、その約半数が「ご厚意はありがたいのですが、受け取れません」との回答でした。受け入れない企業や団体は、意外と少なくないのです。

事前に確認をすれば遺言書を書く段階でわかりますので、寄付先を変えれば良いだけです。ですが、この確認を怠ると、実際に相続が起きてしまってから寄付を断られ、寄付する予定であった財産が宙に浮いてしまうことになります。そのため、団体や企業への寄付を希望する場合には、あらかじめ寄付先に受け入れる体制があるのか、確認されると良いでしょう。

実際にお金を動かす「遺言執行者」を指定する必要がある

また、寄付先の団体・企業が受け入れるといったところで、相続が起きた後、「自動的に」その団体にお金が振り込まれるわけではありません。遺言書の内容を実現するためには、実際に「誰か」が動き、遺言書の指定通りにお金を動かす手続きをする必要があります。

このように遺言書の内容を実現する責任者のことを、「遺言執行者」と言います。これは、専門家がなることもありますし、家族の中の信頼できる人を指定することも可能です。

遺言書で「遺言執行者」の指定がなければ、相続が起きた後で「誰を執行者にするか」という手続きが必要になり、いろいろと面倒です。特に寄付をする場合には遺言執行者は必須ですから、必ず事前に候補者と相談し、遺言書で指定するようにしましょう。

以上のように、企業や団体への寄付は、遺言書にただ希望を書いただけでは実現できない可能性があります。そもそも受け入れてもらえるのか、そして、実際に誰がその手続きを行うのか。それらをしっかりと確認してから、遺言書の作成されることをお勧めします。

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こころをつなぐ、相続のハナシ』(2017年3月8日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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愛知県の行政書士山田和美が、相続・遺言について情報を発信するメールマガジンです。ご家族が亡くなる、ご自身の相続に備えて準備をする。そういった経験は多くの場合、一生に数える程しかありません。だからこそ実際に直面したとき、何から手を付けて良いかわからず戸惑ってしまったり、知らなかったが故に不利益を被ってしまう事が多々あります。このメルマガでは、「相続人って誰のこと?」という基本的な事から、「相続が起きると銀行口座どうなるの?」等のより実務的な疑問まで幅広くお伝えして参ります。

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