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「ほぼ日」株、買ったらどうなる?“糸井さん流”との賢い付き合い方=栫井駿介

老舗の自社サイトは広告掲載なし

しかし、常識では考えられないことが起こるのが株式市場の醍醐味でもあります。ここでは、あえて同社のビジネスモデルを「経済的なメリット」の観点で見つめ直してみます。

ビジネスモデルの根幹となるのが、Webサイトの「ほぼ日刊イトイ新聞」です。ここには様々な文章がちりばめられています。役に立つと言うよりも、読んでいてほっこりする内容がほとんどです。

サイトが立ち上げられたのが1998年です。Yahoo! JAPANの開設が1996年ですから、Webサイトの中では老舗の部類に入ります。

このウェブサイトからは、様々なヒット作が生まれています。例えば「オトナ語の謎」という特集では、会社などでやり取りされる不思議な日本語が日々更新され、滑稽な例文が話題となり、最終的に書籍化までされています。

「ほぼ日刊イトイ新聞」は、無料で見られるウェブサイトとしては珍しく広告を掲載していません。広告業界出身の糸井氏は、広告を設置することで自由な発言が妨げられると考えているためです。Yahoo!やFacebookをはじめとするWebメディアが広告収入の増加に躍起になっている中で、特異な存在と言えます。

Webサイトを無料で公開し、広告も掲載していないとなると、収入源はせいぜい内容をまとめた書籍を出版するくらいしかないようにも思えます

起死回生の「ほぼ日手帳」は超優良事業

そんな中、会社を軌道に乗せる大きな存在となったのが、ホームページ上での物販の開始でした。その中でも「ほぼ日手帳」は会社を大躍進させる立役者となります。

手帳は毎年買い替え需要が発生し、反復性の高いビジネスです。一度「ほぼ日手帳」を気に入った人であれば、特に迷うことなく毎年購入するでしょう。これが、同社の安定した収入源となります。

単に手帳の販売と言ってバカにしてはいけません。一度作ってしまえば、あとは印刷するだけですから、製造コストはさほどかかりません。単価もセットで4,000~5,000円程度と安くはなく、売上高総利益率(粗利益率)は約60%にものぼります。

それ以外の経費も、商品の配送コストや人件費以外は大してかかっていませんし、これから大きな投資をする予定もなさそうです。手帳が売れ続ける限り資金繰りに困ることはなく、実はかなりの優良事業と言えるのです。

Next: 「ほぼ日」成長の可能性は? ビジネスモデルの手本はディズニー

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