ビジネスモデルの手本は「ディズニー」
「ほぼ日手帳」の大ヒットにより大きく成長してきた同社ですが、裏を返すとそれが大きなリスクでもあります。売上の7割を占め、これに取って代わる商品はまだ生まれていません。そのような状況で、成長戦略を描くことは容易ではありません。
いくら考えても、成長を具体的にイメージできる会社ではありません。おそらく、糸井氏自身もできていないのではないでしょうか。しかし、成長する可能性がないかというと、そうとも言い切れません。
この会社の根幹を支えているのは、「ほぼ日刊イトイ新聞」に蓄積されたオリジナルコンテンツです。人々の心に響くコンテンツを生み出し、それを商品と結びつけることで、共感を呼ぶことを目的としています。
今の日本は、何でも「安くて良いもの」を求める傾向があります。ユニクロやニトリなどが典型的な例です。このような競争に巻き込まれると、特徴のない小さな会社は価格競争に巻き込まれ、やがてジリ貧となってしまいます。
一方で、規模は小さくても、人々の感情に訴えかけるビジネスは価格競争に巻き込まれにくく、高い収益性を生む可能性を有しています。
例えば、東京ディズニーランドは度重なるチケットの値上げにもかかわらず、入園者数を増やし続けています。これは、多くのファンの心をがっちり掴んでいるからです。
糸井氏自身も、ライバルはディズニーと公言しています。糸井氏のもともとの仕事であるコピーライティングはまさに人の心を動かす仕事ですから、本領を発揮すればディズニーのような高収益企業になりうる性質を有していると言えるでしょう。
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