「変動上限」を突破した日経平均の今後は? 理論株価で測る相場の位置づけ=日暮昭

当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。

※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)

プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

1/5時点の理論株価は2万1,454円、足元は明らかな高値警戒領域

元気すぎるスタート

2018年の株式相場は1月4日の大発会で日経平均は740円余り急騰、翌5日も200円超の上昇となり2日間で1,000円近い上昇を見せて元気(過ぎる?)なスタートとなりました。

下図は昨年7月初めから直近の1月5日までの日経平均、理論株価と通常変動の上側と変動の上限を示したグラフです。

日経平均、理論株価と通常変動の上側、変動の上限(日次終値)
2017.7.3~2018.1.5

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紺色の線が日経平均、青色が理論株価、緑線が通常変動の上側、赤線が変動の上限を示します。各指標名の後の数値は本年1月5日の値です。

この間の理論株価の推移を見ると、為替(米ドル)相場が比較的安定していたことから主に業績(日経平均ベースの予想EPS)の動きを反映した動きとなっています。すなわち、7月から8月まで横ばいを続けた後、中間決算之発表を控えて業績の上方修正を折り込むことで上昇し11月に一段落した後、再び横ばいとなっています。

一方、日経平均は7月いっぱい理論株価に沿った(ファンダメンタルズに見合う)安定した水準で推移した後下離れしましたが9月に底を打った後上昇に転じ、10月に理論株価、11月に通常変動の上側をごぼう抜きに追い越す急展開となりました。

通常変動の上側を超えた後、年内は変動の上限との間で推移し高値の注意領域ではあるものの警戒には至らない水準で推移しました。そして、本年の年明け早々、4日に通常変動の上側を突破、翌5日の続伸によって日経平均は変動の上側を400円余り上回りました。足元の相場は明らかに高値警戒領域にある状況となっています。

さて、こうした相場情勢を市場リスク・プレミアム(以下、市場リスク)の動きと突き合わせることで市場の深層にある“心象”を見ることができます。下図は日経平均と理論株価の差を市場リスクと合わせて上図と同期間について示したグラフです。

市場リスク・プレミアムと日経平均・理論株価のかい離の推移
2017.7.3~2018.1.5

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紺色の線が市場リスク、赤線が日経平均と理論株価の差を示します。中央の黒色の横線は市場が妥当なリスクと認める「標準リスク」を、「標準リスク」を挟んで上下にある緑色の線は市場リスクの通常の変動範囲の上側と下側を示します。

ファンダメンタルズとのかい離を示す日経平均と理論株価の格差は7月から10月までゼロ、すなわちファンダメンタルズに見合う水準で推移した後上放れ、11月に一時調整した後年明けに一気に格差が広がりました。

こうした株式相場とファンダメンタルズのかい離の推移を説明するのが市場リスクです。日経平均が理論株価にほぼ沿った動きを続けた9月まで市場リスクは通常変動の上側に沿って推移した後、下落基調に入り、通常変動の上側と標準リスクの間で推移した後、年明けに一気に標準リスクを下回りました。

市場リスクが標準リスクの水準を下側に切り込んだ時期が日経平均が変動の上限を超えた時期と一致します。標準リスクを下回るときが市場がリスクをとりにいく、すなわち「リスクオン」の状態となります。

今後の相場は、変動上限を超え反落を意識すべき高値警戒領域にあるという事実を踏まえた上で、市場リスクという“心象(センチメント)”の要素を注視する事態が続くと言えそうです。

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投資の視点』(2018年1月8日号)より一部抜粋

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