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銀と大麦とブロックチェーン。貨幣史から見たビットコインの「本当の凄さ」=房広治

世界で金余りと資産インフレが続くなか、どうしても見逃せないのがビットコインブームだ。お金の歴史を紐解きながら、ビットコインのすごさを考えたい。(『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』房広治)

※本記事は有料メルマガ『房広治の「Nothing to lose! 失う物は何も無い。」』2018年1月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にご購読をどうぞ。当月配信済みのバックナンバーもすぐ読めます。

プロフィール:房広治(ふさこうじ)
アメリカ、イギリス、香港など主要金融センターで著名な日本人投資家。留学中に外資系銀行に就職し、わずか10年で日本のインベストメントバンキングのトップに。投資家転向初年度に年率リターン90%以上の運用成績を出し、ファンドマネジャー・オブ・ザ・イヤーとなる。

どの通貨に対しても10倍の値上がり。ビットコインのすごさとは

お金の歴史~法定通貨は最近の法律によって決められたもの

今年の大発会で741円高(+3.26%)の日本株は、金余り・株高の世界でもダントツのロケットスタートとなった。金余りと資産インフレが続くなか、どうしても見逃せないのが昨年のビットコインブーム。今年は、仮想通貨を含めた資産について、触れていきたい。

紀元前30世紀前にメソポタミア文明時代にお金は使われていたと、「お金の歴史」には書かれている。紀元前18世紀のハンムラビ法典には、利息の上限として銀は20%、大麦は約33.33%と定められ、既に利息を取っていたという記述がみられる。

ただ、メソポタミアだけで使われていたかのような言い方は本当に正しいのかは定かではない。Oxford大学のAshmolean美術館で昨年末に、5大宗教と芸術というのをテーマにしていた展示会で昔の「お金」と称されたものを見て、文明が育ったところ、経済が栄えたところには、いろいろな形のお金が存在していたのではないかと思った。すなわち、昔のお金というのは、現代人のお金の概念と違い、貝がらであったり、米や麦や織物のように貯蔵できるもの、また、石ころであったりもしたのだ。

このような昔のお金から、現代の人々がイメージする紙幣に移ったのは、1023年ごろの中国(宋の時代)らしく、マルコポーロによってヨーロッパに広まった。ヨーロッパで最初の紙幣は、民間銀行のストックホルム銀行が1661年に発行したものである。ストックホルム銀行が破たんして、初の中央銀行スウェーデン国立銀行ができた。1694年にイギリスも戦費調達のためにイングランド銀行を作り、近代的な金融システムを作り出し、イギリスが発展する起爆剤となったようだ。

ここまで書くと読者にはお分かりのように、法定通貨という概念、すなわち、日本では円だけが通貨として認められて、アメリカではドルだけが通貨として認められているというのは、最近の法律によって決められたのである。

お金の役割~3つの機能を持たないと受け入れられない

お金の機能は、3つある。尺度として使え、価値の保存ができ、取引に使えるという3つである。人によっては、1つの機能だけでもお金だと主張するが、少なくとも、世界的に受け入れられている、ドル、円、ユーロ、中国元、英国ポンド、スイスフランなどは、3つともの機能がある。

それに対して、ハイパーインフレが起こったベネズエラ、アルゼンチンやジンバブエの貨幣は、貨幣なのだが3つの機能の内で取引に使えるという機能しか持たない。すなわち、毎日モノの値段が上がるため、尺度としても使えないし、お金に価値の保存機能もない。ということは、1つだけの機能であれば、一般的には受け入れられない、一部地域だけでの通貨ということになる。

Next: 2017年に大暴騰「ビットコイン」の何がすごいのか?

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