「成功本」は著者のかつてのプロセスを理解しながら読む
もうひとつ。「これをすれば大丈夫」などという答えが書いてある本は、「プロセスをすっ飛ばしている」という致命的な欠陥があります。
たとえば「成功者の今」という結果は誰でも見えます。しかしその人が歩んできた数十年の苦労と努力のプロセスは、誰にも見えません。
すごい人や目標にしたい人がいたとして、今のその人がやっていることを真似したって、自分の役には立たない。スキーでパラレルも満足にできない人が、V字ジャンプの飛行姿勢を練習しても意味がないのと同じです。
本当にやるべきことは、今のその成功者やっていることを真似るのではなく、成功者が成功する発展途上でやっていたことを真似ることのはずです。
今は情報量が多いですから、いろんな成功者の結果だけなら、いくらでも目にすることができます。しかし、その人が成功するまでの努力のプロセスは、なかなか伺い知ることはできません。
だから、依存心が強い人、一発逆転願望がある人や想像力が欠如している人は、今の姿だけに注目し、結果や成果を急ぎます。でも結局は、そういう人が情報商材や各種セミナーのカモになり、ただお金を失うだけになってしまいがちです。
そして、その著者のプロセスは、一冊の本で表現できるほど浅いものではありません。だから、気に入った著者の本は全部読み、その人が成功途上に何をしてきたかを知る。そうやって凡人から成功者になっていく過程の思考体系と行動体系を吸収することで、今の自分には何が足りなくて、これから何をすべきかがわかるのです。
時間があったら本など読まない
書き間違いではありません。私は、ある程度のまとまりのある時間がとれるとき、あるいは集中力のあるときには本は読みません。せっかくの大切な時間を、読書なんかで無駄にしたくないと思うからです。
では何をしているかというと、「考える」か「アウトプットする」かのどちらかです。なぜかというと、どんな素晴らしい知識を得たりアイデアがひらめいたりしても、それを行動に移さなければ1円にもならないからです。やはり最優先は「考える」「アウトプットする(実践する)」だからです。
「考える」というのは、たとえば私の場合は、「どうすればホームページへのアクセスが増えるか?」どうすれば集客できるか?」といった課題を解決する方法をひねり出すこと。
たとえばフリーダイヤルを導入し、ウェブサイトの改善(コンテンツ・SEO対策)を考える。新しいセミナーの企画を考える、他社とコラボレーションのスキームを考える、などです。
アウトプットというのは、実際に企画書を作る、原稿やコラムを書く、コピーを書く、覚えた英語表現を話す、取引先を開拓すべく電話をかける、などです。
職業にもよりますが、自分のやるべきことが明確なら、本を読んでいる時間はそんなにないはずです。(リサーチは別として)
『世界一の庭師の仕事術』(WAVE出版)の著者である石原和幸さんは、20代は朝6時から夜中の1時まで花を売り、30代で30店舗に拡大させ、40代になってからも借金返済と「チェルシー・フラワーショー」というガーデニングの世界大会でゴールドメダルをとるために、一ヶ月に40件の庭をつくったそうです。
もちろん彼も、「庭をつくる参考文献として本をたくさん読んだ」という記述がありましたが、圧倒的に実践時間の割合が高いであろうことは想像に難くありません。私も含めて、いったん自分を戒めたほうがよいのではと思っています。そう、「読書をするのはヒマ人のあかしでもある」と。
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