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偶然ではない、森友学園問題と「南スーダンPKO撤収」を結ぶ点と線=近藤駿介

「安倍内閣支持率と不支持率が逆転」衝撃の日経クイックVote

安倍総理は、南スーダンPKO派遣部隊の撤収について「昨年9月からNSCを中心に具体的な検討を始めていた」と発言している。

昨年9月と言えば稲田防衛大臣が、かつて「長期的には日本独自の核保有を単なる議論や精神論ではなく国家戦略として検討すべきではないでしょうか」と核保有に前向きな発言をしていたことに関して厳しい追及を受け、答えに窮した稲田防衛大臣に代わって安倍総理が答弁をした時期でもある。

稲田防衛大臣が、国会で野党の追及を受け涙ぐんだり、答えに窮したりする姿を見せたちょうどその時期から、総理が南スーダンPKO撤収の具体的な検討を始めたというのは果たして偶然なのだろうか。

こうした下地がある中で、安倍総理がこのタイミングで南スーダンPKO撤収というカードを切ったのは、一部の調査で安倍政権の支持率急落が報じられたことが影響している可能性が高い。

同時にお聞きした内閣支持率は36.1%となり、今回の不支持率(63.9%)と前回調査の支持率(63.7%)とが逆になった格好です。

出典:日経電子版クイックVote 森友学園問題「参考人招致すべきだ」7割(2017年3月9日)

この調査はインターネットによるもので、通常の世論調査とは対象も方法も異なるため単純に比較はできないが、「不支持率と支持率とが逆になった格好」というのは衝撃的な内容だといえる。

こうした調査結果もあり、これ以上森友学園問題を長引かせたくないという政権の思惑が、籠池理事長の申請取り下げ、南スーダンPKO撤収発表に繋がったと考えれば筋が通る。

折しも10日は韓国の憲法裁判所が朴槿恵大統領の弾劾訴追について判断を示す日であり、一時的であっても社会の関心が森友学園から離れやすいタイミングであった。

さらに偶然かもしれないが、同日、マレーシア警察当局が、日本からの指紋提供によって先月空港で殺害された人物が金正男氏であることが明らかになったと発表している。

しかし、南スーダンPKO撤収の発表だけで森友学園問題を収束させることは不可能な話。そこで必要だったのが、森友学園の小学校設置認可申請取り下げとの「セット売り」である。籠池理事長が動画を公開してからの2日間、政府との間で「セット売り」に向けて様々な駆け引きが行われたとしても不思議ではない。

どのような駆け引きが行われたのかは知る由もないが、籠池理事長の記者会見での「潰さない。潰さないような方向で考えてもらわないといかないと思っていますね」「まあ延期ですよね。開校の延期ですよね」という発言に、そのヒントが隠されているように思える。

報道ではこの国有地は今年3月末までに小学校建設のために使われなかった場合は、国が売却価格で買い戻すことが出来るという契約になっている。麻生財務相も学園側との契約に基づき、今後、土地の買い戻しを検討することになるという認識を示している。

しかし、前回のコラム(森友学園と国の「危険な共謀」仕組まれたゴミ混入率が意味するものとは?)でも指摘したことだが、「この土地については地下埋設物を考慮して評価された時価で既に売却済みですから、したがって実際に撤去されたかを契約上確認を行う必要がない」という見解を示してきた財務省にとって、国有地を買い戻すことは実際にゴミが撤去されたかを確認する義務が国に戻ってくるということでもあり、決して歓迎すべきことではない。

つまり、森友学園に払い下げられた国有地が再び国有地に戻ることは、森友学園にとっても国にとっても望ましいことではない可能性があるということである。

Next: 財務省近畿財務局は、籠池理事長に「逆手を取られた」のか?

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