「仮想通貨」は完全に投機の対象
さて、先週はマスコミでも仮想通貨に関するニュースが多かったですね。
仮想通貨の代表格であるビットコインは急落しました。「仮想通貨の取引禁止は依然として選択肢だ」とする韓国企画財政相の発言が伝わったことで、規制に対する懸念が高まったことが売りにつながりました。
節目の1万ドルを割り込み、9,222ドルまで下げました(編集:原稿執筆時点2018年1月22日)。一時期の高値更新・高騰の動きは終わったように見えますが、どうでしょうか。17年12月には19,666ドルまで高騰していましたが、1万ドルの節目を割り込み、この1カ月間で半値に下落したことになります。
ビットコインは昨年の急速な価格上昇を受けてバブル化懸念が台頭していました。さらに世界の金融当局も規制に乗り出す動きを見せており、警戒感から売りが売りを呼ぶ展開となりました。また、価格が下げたことで担保維持ができなくなり、売りが売りを呼ぶ展開になりましたね。
ネット上などでは、追証が払えないところにまで下げたと嘆く声も聞かれました。レバレッジを掛けている中で、数十パーセントも下げれば、これはひとたまりもありませんね。また、他の仮想通貨も下落したことで、担保がすべて毀損したような格好になったようです。
ビットコインなどの仮想通貨は、残念ながらいまは完全に投機の対象であり、バブルが破裂したといえます。
もっとも、当初から保有している向きからすれば、まだ十分に利益が乗っています。特に、当初から採掘者(マイナー)として保有している人たちの保有額は数千億円に達しているといわれています。とんでもない金額ですね。
このような金額を聞いてしまうと、「俺も金持ちになるんだ!」といって、高値を買ってしまうことになります。特に、昨年第4四半期の急騰場面では、相当の方が新規参入でビットコインを購入したものと思われます。これらの方々はいま相当苦しい状況にあります。
一方、同時に他資産への投資を行っているビットコインなどの仮想通貨の投資家は少ないとみられていますので、株価が下げるなどの影響はほとんどないでしょう。
当局が規制に向かうのは当然
また、ビットコインは金との代替という人もいますが、そもそもリスク性は全く違います。理解不足もいいところでしょう。
いずれにしても、これだけ投機性が強くなってしまうと、当局が規制する動きになることは避けられません。こうなると、市場はいったん沈静化するのが通例です。もちろん、その後上昇する可能性はあります。
報道によると、フランスとドイツは3月にアルゼンチンで開かれる20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議で、仮想通貨の国際的な規制を呼びかける方針のようです。
フランスのルメール経済・財務相は「ビットコインのリスクの分析や規制についてドイツとともにG20参加国に提案したい」としています。ルメール氏は、仮想通貨の値動きの激しさが金融システムに引き起こしうるショックや、マネーロンダリング(資金洗浄)への悪用を懸念しているとみられています。
また、ドイツのアルトマイヤー財務相代行も「我々は市民に対してリスクを説明し、規制によってリスクを低減させる責任を負っている」としています。
18年のG20会合はアルゼンチンが議長国を務め、議題を決めるのはアルゼンチンではありますが、仮想通貨が議題の1つに取りあげられれば、G20会合で話し合うのは初めてとなります。