自分の魅力や才能は「短く鋭い言葉」でしか伝えられない
短い言葉で核心を伝える。これぞ、私の指導方針です。人を動かす言葉は、短いのが鉄則です。ひと言で核心を突く言葉。ビジネスマンなら必携のスキルでしょう。
私が日ごろ行っている、個人レッスンの模様をご紹介しましょう。
先日の生徒さんは教職を目指す男性講師。すでに学校で非正規として勤めています。音楽が専門で、なんと9回目のチャレンジ! こんな方を世に出してあげるのが私の役目。腕がなります。
初めに聞いた彼の志望動機は、「生徒に音楽の楽しさを伝えたい」というものでした。でもそんなことなら、他の人でも似たようなことを言いそう。音楽の教師は他の分野より狭き門なのです。
私の個人レッスンは、本人からじっくり話を引き出すことから始まります。彼の口から出て来た言葉は、「最近の子供は親に何かをさせられている感じがする」というもの。つまり能動的に動いていないということ。だから見ていて楽しそうではないし、生き生きしていない。彼はそれを変えたいのだそうな。この気持ちをうまく言葉にできれば、彼が教師としての資質に優れていることが面接官に伝わります。
そこで生まれたのが、「最近の子供には情熱を感じない」「子供たちに情熱を持って生きる喜びを伝えたい」という言葉。
「私は子供たちに情熱を持って生きる喜びを伝えたくて、教職を目指そうと思いました」。このキャッチコピーなら、面接官も「おっ!」と膝を乗り出すでしょう。
この後は、
- 情熱を注いで生きている子供が少ない
- 自分は吹奏楽と出会って生きがいを見つけた
- 寝食を忘れてトロンボーンの練習に明け暮れた
- 何も自信を持てなかった自分が、自信を持って生きられるようになった
- 子供たちに授業や部活を通じて、音楽の喜びを伝えたい
- 情熱を捧げて取り組むものを見つける手助けをしたい
こうつないで志望動機が完成。彼も「自分が伝えたいことが全部含まれている」と喜んでくれました。
私の仕事は、その人の考えや才能を短く鋭い言葉で表現すること。すると、その人の魅力が浮かび上がって来る。
面接なら合格し、プレゼンならば聴衆の心をつかむ。営業ならいいお客様に出会い売り上げを作る。これが私の仕事であり天職なのです。
その方に秘められた才能や実力があれば、必ずいい言葉を見つけることができます。反対に、その方に才能や資質、経験がなければ、さすがの私にも成す術がありません。
さて、先ほどの音楽講師の方ですが、ついに9年の雌伏を経て、合格されたと連絡がありました。きっと彼は子供の才能や魅力を引き出し、世の中を照らす人材を育ててくれるでしょう。また才能豊かな人材が世に飛び出したのです。
※本記事は有料メルマガ『野口敏の会話がとぎれても大丈夫』2018年1月15日, 2017年8月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
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『野口敏の会話がとぎれても大丈夫』(2018年1月15日, 2017年8月28日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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