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バブルと言われてもなお、私が中国株を有望視する確かな数字=栫井駿介

この1年、米国株は急速に上昇し最高値の更新を続けていますが、それ以上に上昇しているのが中国株です。この1年間における中国株の代表的な指数である香港ハンセン指数の上昇率は42%と、日経平均(22%;橙色)、ダウ平均(32%;緑色)を上回ります。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

長い目で見れば中国株。成長が期待できる「確かな数字」とは?

1年間で42%の上昇

この1年、米国株は急速に上昇し最高値の更新を続けていますが、それ以上に上昇しているのが中国株です。この1年間における中国株の代表的な指数である香港ハンセン指数(下チャート赤色)の上昇率は42%と、日経平均(22%;橙色)、ダウ平均(32%;緑色)を上回ります。

出典:Bloomberg

出典:Bloomberg

短期的には調整の可能性も、長期的には世界経済を牽引

中国経済に関しては、私はこれまでも不動産バブルの崩壊や、共産党大会後の投資失速による景気後退など警鐘を鳴らしてきました。一方では、推奨銘柄に中国株を取り上げるなど一見整合性のない動きをしてきたことから、戸惑う会員も少なくなかったかもしれません。

混乱の要因は、主語が「短期か長期か」、また「世界経済か中国経済か」によって結論が異なるからではないかと考えます。

短期で見れば、不動産バブルや投資失速は高い確率で起こりうる事態であり、一時的な株価の調整もあるでしょう。

しかし、長期で見れば中国経済はなお年間6%もの高成長を遂げる国であり、1%程度の日本や3%程度の日本と比較しても優位な状況にあります。

したがって、長期投資を考える上では、短期的な調整はむしろ「買い」だと言えるのです。先を見据えることができれば、今からでも投資することは、決して大きなリスクではありません。

また、足元の世界経済は中国における積極投資が好調の起爆剤になっており、裏を返すとそれが落ち着けば世界経済も停滞を余儀なくされる可能性が高いと考えます。経済が停滞すれば、株価も今のように好調を維持することは難しいでしょう。

一方で、中国経済の動きが世界経済にここまでの影響を与えたことは過去100年ありませんでした。規模では既に世界第2位の大国ですが、量だけでなく質でも世界経済のエンジンとなりつつあるのです。

中国の産業構造は今まさに大きく変化している

それと同時に起きているのが、民間企業の成長です。これまで中国の巨大企業と言えば石油や金融などの国営企業でしたが、アリババやテンセントが時価総額の世界10位以内にランクインするなど、政府に頼らない民間企業が急速に力をつけています。

昨今の中国における投資の積極化は、従来の土木関係のみならず、半導体や製造用ロボットと言った「産業の高度化投資」がにわかに活発化しています。このバブルが落ち着いたとしても、その後の期間で中国の民間企業は世界の大手企業に伍するような力を付けるでしょう。

中国企業の有利な点は、国内市場が巨大だということです。世界の競合に勝てなかったとしても、それを真似するだけで、政府に守られた国内市場で大きく成長することができます。アリババもAmazonの真似にすぎませんが、ほぼ中国内市場だけであっという間にAmazon以上の利益を稼ぐようになりました。

中国のこれまでの成長は輸出やインフラ投資によるものでしたが、これからは中間層が増加することによる内需主導の成長に切り替わっていくでしょう。その波に乗れる企業を見極められれば、高度経済成長期の日本企業のような成長が期待できると考えます。

Next: 中国市場はまだ割安? 成長を期待できる確かな数字とは

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