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LINE、ソフトバンク社と戦略的提携へ 17年通期売上収益は過去最高を達成

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2018年1月31日に行われた、LINE株式会社2017年12月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

2017年12月期通期決算説明会

出澤剛氏:LINEの出澤でございます。本日は、2017年度(2017年12月期通期)決算発表コールにご参加いただき、ありがとうございます。さっそくですが、私から決算概況および今後の事業戦略について、ご説明を申し上げます。

2017年12月期通期ハイライト

ハイライトは、(こちらのスライドを)ご確認ください。

年間売上収益

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5ページに移ります。

まず、売上に関してご説明します。2017年度の売上収益は1,671億円と、過去最高を達成しております。とりわけ、広告事業が大きく成長を牽引して、当社グループの売上収益の成長率は18.8パーセントと、前年(2016年12月期)を上回る結果となりました。

年間営業利益及び当期純利益

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6ページに移ります。2017年度の営業収益は251億円で、前年比で26パーセント成長しました。一時収益を除いた場合は146億円となり、営業利益率は8.8パーセントとなります。

月間アクティブユーザー数|主要4ヵ国

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次のページの、主要4ヶ国におけるMAUは、2017年末時点で1億6,800万人です。日本国内のMAUについては、1年間で740万人増加し、7,300万人まで成長しております。さらに、ユーザーとの結びつきを示す指標である、主要4ヶ国のDAU/MAU比率は75パーセントと、引き続き高水準で安定しています。とくに、日本においては84パーセントと、圧倒的な利用率を誇っております。

広告売上

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それでは、個別のサービスについて振り返らせていただきます。

8ページは、広告事業です。広告全体の売上は765億円で、前年比39.9パーセントの増加となりました。2017年の当社グループの売上収益のうち、46パーセントの割合を占める規模に成長しております。

パフォーマンス型広告については、(2017年)2月のニュースタブ設置による「LINEニュース」の大幅な成長や、ファミリーサービスへの広告面の拡大などの施策によって、広告インプレッション数は前年比で2.8倍となりました。

また、広告単価を示すCPMは、2016年12月と2017年12月との比較で67パーセント上昇いたしました。要因としては、開発体制を強化し、データ活用の高度化と広告プラットフォームの機能向上を進めるとともに、ブランド向け広告・動画広告などの商品ラインナップを拡大しました。

また、営業の強化による広告主数の増加も寄与して、このような単価上昇が実現しました。この結果、年間の売上収益は前年比2.5倍と、大きな成長を達成しております。また、12月には、動画広告配信プラットフォームを開発運用するファイブ株式会社を買収し、外部メディアを含めた在庫拡大と動画広告の強化を、さらに押し進めていきます。

ファイブは、高品質な動画アプリをはじめとする1,800以上のパートナーメディアと連携しており、広告接触が可能なMAUが2,800万以上と、国内動画広告において最大規模のユーザーリーチ数を誇ります。加えて、動画広告を専門とする優秀なエンジニアが多数在籍していることから、2018年はファイブの持つ技術力とリソースを活用し、LINEとファイブ双方の広告プラットフォームの強化を図ってまいります。

メッセンジャー型広告についても、国内外でのオフィシャルアカウントや「LINE@」のアカウント数が増加したことにより、売上収益は前年比16.2パーセントの成長となりました。とくにLINE@は大きく成長し、世界で270万アカウント増加しました。

日本でも店舗での利用の普及が進んで、30万店舗以上でご利用いただいております。この店舗とのつながりは、「LINE Pay」の普及にも、非常に有効に活用できると考えております。

コミュニケーション・コンテンツ・その他売上

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続いて、9ページです。コミュニケーション(の部分)は、主にスタンプになります。こちらについては、お年玉スタンプや、デコ文字および「LINE Creators Studio」などの新商品の展開が功を奏し、売上収益は前年比で3.2パーセント増加いたしました。

コンテンツ(の部分は)、こちらは主にゲームになります。既存のパズルゲームが非常に底堅く推移する一方で、既存タイトルの減少分を新作でカバーするには至らず、コンテンツの売上収益は、前年比で10.4パーセントのマイナスとなりました。

ただし、2017年に買収したNextFloorを核としてLINE GAMESを設立し、ユーザーニーズの高い新たなジャンルへの挑戦ができる土台作りを進め、昨年末には『デスティニーチャイルド』をリリースし、セールスランキングもトップ20入りいたしました。

2018年は新しい体制のもと、パズル等を含め、10タイトル程度をリリースする予定です。

ゲーム以外のマンガ・ミュージックなどのコンテンツは好調に拡大しております。(詳しくは)次ページでご説明いたします。

そのほかの売上収益は、「LINE FRIENDS」にてニューヨークを含む10店舗を新たに出店したことに加え、「LINEモバイル」やLINE Payが成長したことから、合計で202億円、前年比で69.8パーセントの成長を達成いたしました。

スマートポータルの進捗①

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10ページに、スマートポータルの進捗として、「LINE マンガ」と「LINE MUSIC」の決済高の推移をお示ししています。

LINE マンガは、日本の電子書籍アプリNo.1として着実に成長し、前年比で37.2パーセント成長しております。

LINE MUSICについても、楽曲数の拡大、あるいは(LINE BGMの)機能連携によって決済高が大幅に上昇しており、前年比で2.8倍の成長を遂げているという状況です。

スマートポータルの進捗②

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続いて、「LINE ショッピング」と「LINE デリマ」です。昨年(2017年)夏にスタートしたLINE ショッピング・LINE デリマも、順調に成長しております。12月は需要期ということもあり、それぞれ月次で(LINE ショッピングは)35パーセント、(LINE デリマは)34.3パーセント成長いたしました。

スマートポータルの進捗③

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12ページに、LINE Payについて書いてあります。LINE Payに関しては、2017年の年間決済高が4,500億円を達成し、飛躍の年となりました。10月には、グローバルでの月間取引件数が1,000万件を突破し、11月にはアカウント登録数が4,000万人を超えております。

日本においては、ローソンや大手ドラッグストアなどの全国チェーン店との提携が進み、使える店舗が増加するとともに、50行以上の銀行と提携し、ユーザー入出金の利便性を上げています。

また、台湾においては、台湾で唯一交通系ICカード発行と電子決済運営ライセンスを持つiPASSコーポレーションへ出資し、筆頭株主となりました。これにより、台湾でも残高機能の搭載や送金機能の強化、銀行との連携を強めて、新たなサービスを展開する素地が整いました。

2018年はさらなる発展を目指すべく、Payを含めたFintech事業戦略を推進してまいります。

ポストスマートフォンへの展開|Clova

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続いて、ポストスマートフォン戦略となるAIアシスタント「Clova」を(2017年2月に)発表し、9月には国内初となるAIスマートスピーカー(Clova WAVE)の発売を開始いたしました。

発売以来、赤外線での家電操作やLINE通話・メッセージなど、Clovaならではのものを含む約20種類のスキルを実装するとともに、レスポンス速度は3倍程度の改善となりました。また、学習データを使った音声認識精度の改善を進めております。

12月に発売した『Clova Friends』は、LINEキャラクターを起用したデザインが好評で、量販店を中心に順調に販売が進んでいます。今後はClovaプラットフォームの開放を通じて、エコシステムの拡大を目指してまいります。

詳細については、のちほどご説明いたします。

本日の発表|ソフトバンク社との戦略的提携の基本合意

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続いて、14ページです。LINEモバイル事業に関しては、本日ソフトバンク社との戦略的提携の基本合意を発表させていただきました。

LINEモバイルは、2016年9月にサービスを本格提供開始以降、ユーザーの支持が高いサービスとして急成長してまいりました。今回の提携は、LINEおよびソフトバンクがそれぞれの強みを持ち寄り、LINEモバイルをさらに拡大・成長させることが目的となります。

今回の提携を通じたLINEモバイルユーザー層拡大により、LINEが提供する各サービスや事業の拡大、ひいてはLINEを入口として人や情報サービス、企業・ブランドと、シームレスにつながるスマートポータルの戦略の推進につなげてまいります。

重点事業戦略

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続きまして、2018年の事業戦略についてご説明いたします。

LINEはこれまで、スマートポータル戦略として、圧倒的なユーザー数のエンゲージメントを持つメッセンジャーを基盤とし、その上にさまざまなコンテンツやサービスを拡大してまいりました。

その中でも、2018年においては「広告」、LINE Payを含む「Fintech」「AI」の3つを、重点事業として注力してまいります。

まず広告事業については、今後もLINEの売上収益の成長を牽引する役割を持っています。この広告事業に、コンテンツやコミュニケーションを合わせた既存事業については、今年もさらなる売上成長および収益力の向上を実現し、LINE全体として前年同水準の成長率での売上成長を目指します。

戦略投資の重点は、FintechとAIの領域です。2018年は、この2つの領域で大きなパラダイムシフトが起こる年であると、我々は考えています。我々がLINEをつくった2011年、スマートフォンによる大きなパラダイムシフトが起こりました。今年は、それに匹敵する大きな変化が起こると考えており、そこに積極的に投資をしていきます。

日本の金融領域は、諸外国に比べてもテクノロジーの活用による利用者の利便性向上が、最も遅れている分野だと思います。我々の持つ圧倒的なユーザー基盤・技術、そしてデータを活用して、安心で利便性の高い金融サービスを、幅広く展開していきたいと思います。

AIについては、スマートスピーカーは単なる入口です。ClovaというAIを高度化させ、ありとあらゆるシーンでユーザーの利便性を向上させる、次世代の非常に大きなプラットフォームをつくるプロジェクトです。

また、このAI事業で集められたマシンラーニング・ディープラーニングなどの技術や人材は、LINEのコンテンツ事業・広告事業・金融事業などにも、(これら以外の)他の事業にも展開されていくものです。この2つの領域に、今後積極的な投資を行うことを計画しており、2018年は最大で300億円の投資(を計画しています)。営業利益に対するインパクトを見込んでいます。

1 広告事業

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それでは、重点事業の1つ目の、広告事業戦略についてご説明申し上げます。みなさまもご承知のとおり、デジタル広告市場、とくにスマートフォン広告市場は、国内外問わず持続的に成長しています。そのような環境の中、LINEはスマートフォン上で圧倒的なユーザー数・データ・広告掲載面を持ち、高い広告技術でそれらを活用している点に、優位性があります。

2018年の取り組みとして、データ活用においては、スマートポータルの拡大によって既存サービスだけではなく、ショッピングやLINE Payの拡大による消費購買データ・LINEモバイル関連のデータなど、利用者の許諾の範囲での活用可能なデータが、さらに拡大する見込みです。また、広告掲載面についても、LINE内のさらなる面の拡大、あるいはファイブを通じたLINE外のネットワーク……店頭や商品との連携など、大きく拡大させていきます。

そして、これらの豊富なデータと広告掲載面を活用し、広告プラットフォームのさらなる高度化をしてまいります。さらに今年は、今は別の管理システムで稼働しているメッセンジャー広告とパフォーマンス広告を強化し、広告主が一元管理・一体運用でき、さらに広告効果を高めていただけるように、改善を進めていきます。

これらの取り組みにより、ユーザーと広告主の新しい接点を増やし、ユーザーに対しては価値ある情報を、広告主にはROIの高い広告パフォーマンスの提供を実現いたします。またタイ・台湾・インドネシアへの展開を強化してまいります。

2 Fintech事業

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次に、LINE PayおよびFintech戦略について、ご説明いたします。2018年はモバイル決済元年として、スマートフォンにおける決済が浸透する年になるものと確信しています。そのような中、圧倒的なユーザー数と高いエンゲージメントを持つLINEは、毎日使う決済との親和性が高いことから、LINE Payをスマホ決済でトップシェアにすべく、注力いたします。

LINE Payに関する戦略として、2018年は2つの取り組みを中心に進めます。まずは利便性を高めるために、LINEメッセンジャープラットフォーム上に「LINE Wallet」を実装し、割り勘などの送金機能向上や決済機能の拡充を行います。また、LINE Payの利用頻度をさらに増やすことを目的として、2018年内にLINE Pay加盟店100万店舗達成を目指します。

また金融領域には、決済以外にも、ユーザーにとって複雑でハードルが高いサービスが多々あります。LINEは、ユーザーがさまざまな金融サービスをより身近に、気軽に、安全に利用できる環境を作ることを目的として、LINE Financial株式会社を設立いたしました。

モバイル関連サービスのリーダーであるLINEだからこそ、日々やり取りされる膨大なチャットメッセージの安全性を保証する高いレベルのセキュリティに加え、ブロックチェーンなどの先進的な技術を活用し、ユーザーに革新的な金融商品やサービスの提供をできると信じています。

その第1弾として、テーマ投資を通じて誰でも楽しく簡単に資産運用を始められるサービスを提供する、株式会社FOLIOとの資本業務提携を発表いたしました。

Fintechは、LINEのスマートポータル戦略においても今後重要な役割を果たすものと考えており、現在LINE上での仮想通貨取引所や、ローン・保険といった新しい金融関連のサービスを提供する準備も進めています。

3 AI事業

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最後に、AI戦略についてご説明いたします。スマートフォン時代を見据え、あらゆるデバイスシーン・環境とAIが溶け合っていく世界を目指して、2018年も継続してスマートスピーカーの新機種追加と、基本スキルの増強を進めてまいります。

また、今年はスピーカー以外にもClovaが実装された自社デバイスに加え、デバイスパートナーの製品を展開していく予定です。さらに、今春にはClovaとアプリケーションやデバイスを連携するための機能を追加するために、プラットフォームをオープン化し、3rd Party向けに公開する予定です。

プラットフォーム公開により、Clovaと連携するアプリケーションやデバイスの開発がしやすくなることで、Clovaのスキル拡大が加速化することを期待しています。車・ウェアラブルを重点利用シーンとして、多くのコンテンツ・サービスパートナーやデバイスパートナーとのエコシステムを構築し、Clovaプラットフォームのさらなる拡大を目指します。

今後の開示方針

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最後に、開示方針についてです。これまで説明させていただいたように、2018年は、広告事業を含むコア事業領域での収益向上を図り、そこで創出した利益を集中的に、FintechやAI領域へ投資してまいります。

このような会社の方針に照らして、業績開示についてもコア事業と成長事業、投資事業の2つのセグメント別に損益の開示も行っていく予定です。

以上をもちまして、2017年通期決算の概況を申し上げました。続きまして、CFOの黄より、当第4四半期の業績について補足させていただきます。

2017年12月期第4四半期連結業績

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黄仁埈氏:CFOの黄です。続いて、(2017年12月期)第4四半期の実績について、ご説明申し上げます。

連結営業収益は464億円で、前年比21.7パーセントとなりました。広告に関しては、前年同期比で40.2パーセントと、高い成長率を見せております。

パフォーマンス型広告においては、引き続き単価が上昇し、国内タイムラインおよびニュースのコアなCPMはすでに500円を超え、売上収益は前年同期比101.9パーセントの増加となりました。

メッセンジャー型広告の売上収益も、前年同期比24.1パーセント増加し、引き続き成長いたしました。

オフィシャルアカウントおよびLINE@を合わせた売上収益は、前年同期比42.6パーセント増加し、メッセンジャー型広告に占める割合が55パーセントを超えました。

そのほかについても、LINE FRIENDSにおいての、中国の11月11日の「独身の日」の売上増加や、クリスマスなどの売れ行きが好調であったため、売上収益は前年同期比で75.5パーセント増加いたしました。

営業費用の主な項目について、ご説明いたします。

従業員報酬費用の増加は、継続的な採用活動にともなうコストおよび、買収による新規子会社の人員増によるものです。

マーケティング費用は、(2017年)11月末にリリースした『デスティニーチャイルド』を含めたゲームにおいて、前四半期対比で10億円増加しました。

加えて、ClovaのテレビCMなどのプロモーション費用は、14億円発生しました。

認証及びその他費用は、その内20パーセントはLINEモバイル関連の外注費用です。

またLINE FRIENDS関連の外注費用も多くを占めており、これらは各サービスの売上増とともに、引き続き増加する見込みです。

減価償却費及び償却費については、サービス成長による自然増です。また、買収にともなうのれん償却が主なものです。今後も事業の成長にともない、継続して増加する見込みです。

2017年12月期第4四半期補足説明

LINE、ソフトバンク社と戦略的提携へ 17年通期売上収益は過去最高を達成

その他の営業費用の増加は、外形標準課税です。LINE FRIENDS製品及びスマートスピーカーの製造原価が、主な内容です。

これらにより、連結営業利益は6億円で、前年比マイナス62.6パーセントとなりました。とくに当四半期の営業利益に対するマイナスのインパクトとして、「Clova Friends」を予定より前倒しで製造・販売したことにより、マーケティング費の14億円を含め、前四半期比で22.4億円発生しました。

次に、営業外費用については、「Snow」やその他の持分法会社からの投資損失が、20.1億円です。また、ベンチャー投資による12.3億円の投資有価証券の(公正価値)評価損失が、主なマイナス要因です。

以上で、補足説明を終わります。

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