fbpx

仮想通貨でも日本は負け組になるのか? 世界とかけ離れた日本の課税=俣野成敏

当面の仮想通貨投資における具体的な脅威は「税金」の問題です。日本の法規制は、明らかに「税収のためにつくっている」と言っても過言ではありません。(俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編

プロフィール:俣野成敏(またのなるとし)
30歳の時に遭遇したリストラと同時に公募された社内ベンチャー制度で一念発起。年商14億円の企業に育てる。33歳で東証一部上場グループ約130社の現役最年少の役員に抜擢され、さらには40歳で本社召還、史上最年少の上級顧問に就任する。2012年の独立後は、フランチャイズ2業態6店舗のビジネスオーナーや投資活動の傍ら、マネープランの実現にコミットしたマネースクールを共催。自らの経験を書にした『プロフェッショナルサラリーマン』及び『一流の人はなぜそこまで、◯◯にこだわるのか?』のシリーズが、それぞれ12万部を超えるベストセラーとなる。近著では、『トップ1%の人だけが知っている』(日本経済新聞出版社)のシリーズが10万部超えに。著作累計は44万部。ビジネス誌の掲載実績多数。『MONEY VOICE』『リクナビNEXTジャーナル』等のオンラインメディアにも数多く寄稿。『まぐまぐ大賞(MONEY VOICE賞)』を3年連続で受賞している。

※本記事は有料メルマガ『俣野成敏の『トップ1%の人だけが知っている「お金の真実」』実践編』2018年2月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

安全性や利用者保護は後回し? 税収のために作られた日本の規制

日本でも人気だった「NEM(ネム)」

今、世間の目がコインチェックの仮想通貨流出事件に集まっています。「コインチェックが、数日中に今後の返金計画について発表する」「コインを盗んだハッカーが、コインを少額に分けて送信し、追跡を逃れようとしている」etc…しばらくは、この話題で持ちきりになりそうです。

今回のハッキングの対象となったNEM(ネム)という仮想通貨は、2015年3月に公開された仮想通貨で、「New Economy Movement(新しい経済運動)」の略称です。「金銭的な自由」「分散」「平等」といった、新しい経済圏の創出を目指して始められたプロジェクトで、NEM財団のCEOに日本企業の代表が就任するなど、日本人にも人気の高い仮想通貨です。

最大の売りは「ブロックの生成が約1分」という、その速い処理速度にあります。また消費電力の低いPOI(Proof-of-importance)という仕組みやEigen Trust++というアルゴリズムを採用し、高いセキュリティを謳っていました。

しかし、これがかえって仇となったようです。コインチェックがネムをオフライン保管していなかった理由として、「技術的に難しかったから」だと述べています。

「仮想通貨」は日本を目指す?

現在、ネムのような新しい仮想通貨を取り扱うところが少ない理由は、「まだよくわからず、扱えばリスクが高くなる」からだと思われます。ですから、世界に数千あると言われる仮想通貨ですが、日本の仮想通貨取引所が取り扱う通貨はビットコインがダントツで、後はイーサリアムリップルなど少数に限られます。コインチェックはその中にあって、国内では13種類と比較的多くの通貨を取り扱ってきました。

取引所のオフライン保管(コールドウォレット)を利用すると、オンライン保管に比べてセキュリティが向上します。しかし、この方法だと通貨の入出金が自動でなくなり、「利便性が落ちる」というデメリットがあります。コインチェックはユーザーの使い勝手を重視しており、秘密鍵の分散管理も行っていませんでした。

新しい市場では進化と拡大が同時期に進むため、事故が起きるのは、ある程度はやむを得ない面があるでしょう。とはいえ、コインチェックはその経営方針などから判断する限り、ハッキングの危険性をはっきりとは認識していなかった可能性もあります。

おそらくコインチェックが今回、被害に遭ったのは偶然ではないでしょう。なぜなら今、「仮想通貨市場の4割は日本人が占めている」という報告もあるからです。

かつては仮想通貨取引の9割を占めていたとも言われる中国では現在、仮想通貨を取り締まる動きが強化されています。中国政府は昨年(2017年)9月にICO(新規仮想通貨公開)を全面的に禁止する方針を打ち出し、韓国もそれに続きました。

日本の金融庁は現状、規制強化に対しては「イノベーションの促進と利用者保護のバランスが大切だ」と発言するにとどめていますが、今後、日本がハッカーたちの標的にされることは、十分に考えられることです。

利用者が増えれば、当然ながらそれを狙って詐欺師や犯罪も横行します。今回の事件は、これから頻発するハッキング被害の序章に過ぎないのかもしれません。

Next: なぜ値上がりする? 仮想通貨をめぐる国家の動き

1 2 3 4
いま読まれてます

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

MONEY VOICEの最新情報をお届けします。

この記事が気に入ったらXでMONEY VOICEをフォロー