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仮想通貨でも日本は負け組になるのか? 世界とかけ離れた日本の課税=俣野成敏

【仮想通貨の未来と税金をめぐる問題】

仮想通貨自体は、インフラとも呼べるものです。差し当たって、世界中で生まれている数千にも及ぶというコインのうち、どれが生き残り、一般化するのかは、まだ見えていません。仮想通貨が一般化するには、クリアしなければならない難しい課題がいくつかあり、今後、まったく違った姿になることも十分に考えられます。

現状、考えられている仮想通貨の未来とは「各国政府が自国の法定通貨を、仮想通貨の技術を使って発行する」というものです。法定通貨とは、国が認めた通貨のことです。法定通貨のデジタル化はいずれ主流となり、紙の通貨はデジタル通貨に取って代わられることになるでしょう。国にとっては「通貨発行権」という利権さえあればいいワケで、むしろデジタルのほうが情報を得やすく、コストも管理費も紙より優れていますから。

たとえば、1万円札には識別番号が印刷されていますが、これが紙に印刷されていようが、デジタル処理されていようが、国にとってはどちらでもいいことです。1万円を「これには1万円の価値があります」と言い切るのに、紙でなければいけない、という理由はどこにもありません。万一、法定通貨のデジタル化が実現した暁には、マイナンバーどころではなくなるでしょう。

以後の大きな流れとしては、ある一定の期間までは過渡期で、現在の貨幣経済と新しくできた仮想通貨経済圏が併走し、将来的には、完全ではないにしても、リアル通貨が「ほぼ仮想通貨に置き換わる」という時代がやってくるのではないでしょうか。

投資家にとっての脅威は当面「税金」

実際に、それが実現するのはまだ先のこととして、当面、投資家にとっての具体的な脅威としては「税金」の問題があります。

2017年9月、国税庁のHPを通じて「ビットコインで得た利益は雑所得に当たる」という発表がなされました。これは所得税の中でも特に税率が重く、最高で4割5分が税として徴収されます。また、12月には国税よりQ&A形式にて「仮想通貨 → 仮想通貨への両替」と「仮想通貨 → 物品の購入」も利益確定と見なされ、課税対象となる旨が発表されています。

気になる点としては、日本の法規制が、仮想通貨に対する世界的な法規制とはかなり違っていることです。現状、アメリカなどでは、仮想通貨は基本的に株式などと同じ扱いになっていますが、日本の法規制は明らかに「税収のためにつくっている」と言っても過言ではありません。

日本では、2017年4月より仮想通貨取引所が許可制になりました。しかしそれは、ほとんど「取引所を、税金を徴収するための関所代わりにするため」に他なりません。つまり下手をすると、規制の本来の目的である「安全性」や「利用者保護」が後回しにされ、国税が重視している「税金を徴収する管理体制」が優先される可能性がある、ということです。

これをお読みの方は「“管理の強固さ”と“セキュリティの強固さ”は違う」ということをよく認識した上で、取引所を選ぶ際には、よく注意して選択していただきたいと思います。

Next: ハッキング被害が増加する? 今年、仮想通貨業界で起きること

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