重要なのは「企業が利益を出しているかどうか」だけ
重要なのは企業が利益を出しているかどうかであり、FBRが何を言おうが中東がどうなろうが北朝鮮が何をしようが、そんなことはまったく関係がないのである。
長期金利が上がった、失業率が上がった、相場が暴落した、中東で戦争が始まった、どこかのならず者国家が何かした……としても、それで人々の生活が変わるわけではないことに気付かなければならない。
2018年2月の株式市場の崩落はアメリカの長期金利の上昇が原因だと推測されているが、長期金利が上がったらスターバックスのコーヒーを飲むのをやめたり、マクドナルドを食べるのをやめたり、グーグルで検索しなくなるのだろうか。
あるいは、失業率が上がったら車に乗るのをやめ、銀行に行くのをやめ、保険を解約したりするだろうか。中東で戦争が始まったらアルコールを飲むのをやめ、タバコを吸うのをやめ、ディズニーの映画を観るのをやめるだろうか。
ならず者国家が何かしたら、私たちは薬を買うのをやめ、シャンプーを使うのをやめ、買い物をやめるのだろうか。
そんなことは、考えられない。
人々が今の生活パターンを変えないというのであれば、スターバックスもマクドナルドもグーグルも、銀行も保険もタバコ会社もアルコール会社もディズニーも製薬会社も、成長の余地があるということなのである。
将来価値よりも安いと思えばどこで買ってもいい?
市場が暴落したところで、最も叩き売られた優良企業の株式を丹念に拾っていけば「いずれ良いことはある」という理屈は誰でも分かっている。
ところが、分かっていても普通は動けない。
人々にそれができないのは理由がある。それは「どこまで下がるのかまったく分からない」からである。チャートは何の役にも立たない。未来がどうなのかを何も示していない。どこが底なのかも示していない。
まわりは阿鼻叫喚で正気を失っている。普段は偉そうにあれこれ解説しているアナリストも急に自信を喪失して「今は買い時ではない」と言い始める。トレーダーは蒼白になって資産を投げ売りしている。絶望した人たちが、突如として終末論に目覚めたりする。
底が見えないというのは、人々の猜疑心と不安感を極限まで刺激するので、相場は往々にして「想定以上」に落ちていくことが多い。相場は常に上にも下にも行き過ぎるのである。
だから、「安くなった」と思って買ったら、もっと下がっていくのが暴落時の光景だ。
昔の相場師は「落ちるナイフをつかむな」と表現した。「下がっていると思って買うのは落ちるナイフをつかむのと同様で大怪我をする」と言っているのだ。
実際、暴落時は買っても買っても落ちていくことが多い。だから、「どこが底なのか?」を見極めたいと思って人々は暴落時には「買えない」のだ。
しかし、優良企業の株式の保有数を極大化させたいと思っているのであれば、別に相場の「底」がどこかなど特に見極める必要はなく、その企業の将来価値よりも安いと思えばどこで買っても構わない。
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