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【理論株価】日経平均は急落で妥当水準へ。荒れ相場に必要な客観評価=日暮昭

当マガジンは日経平均の妥当な水準として統計的処理で求めた理論株価をもとに、足元の相場の位置づけを評価する材料を提供するものです。原則として日経平均と理論株価の位置関係を示すグラフと表に若干のコメントを合せて毎週1回配信いたします。皆様のより良い投資成果のための一助にして頂ければ幸いです。

※「理論株価」についてはこちらをご覧ください。(『投資の視点』日暮昭)

プロフィール:日暮昭(ひぐらしあきら)
日本経済新聞社でデータベースに基づく証券分析サービスの開発に従事。ポートフォリオ分析システム、各種の日経株価指数、年金評価サービスの開発を担当。インテリジェント・インフォメーション・サービス代表。統計を用いた客観的な投資判断のための市場・銘柄分析を得意とする。

2/6時点の理論株価は2万1457円。この急落で、かい離はほぼ解消へ

年初から警戒領域にあった

日経平均は2月6日に1,000円を超える急落を記録、5日からの2日間で1、664円、7.15%の下落となりました。米国株の急落が引き金となった形ですが、それ以前に相場は警戒領域にあったことを見逃すことはできません。

日経平均は年初からの急騰によって1月9日に変動の上限を超え、それ以降、1月末まで相場反転に備えるべき「臨戦態勢」の領域に入っていました。

下図は昨年7月から直近の2月6日までの日経平均と理論株価、そして通常変動の上側と変動の上限の推移を示すグラフです。各指標名の枠内の数値は2月6日の値を示します。

日経平均は昨年7月に理論株価に沿った動きを続けた後、8月に一時理論株価を下離れし、9月半ばから今年の1月までほぼ一貫して上昇を続けました。この間、11月から12月半ばにかけてはさすがに上昇エネルギーが息切れした形で当面の関門である通常変動の上側で足踏みをしています。

その後、12月後半から再び上昇力が高まり、本年1月に変動の上限を超えました。2月に入り変動の上限超えのひずみが一気に露呈して急落、通常変動の上側をごぼう抜きに突き抜けて2月6日には日経平均は理論株価との差は150円余りと急接近しています。

日経平均、理論株価、通常変動の上側と変動の上限の推移(日次終値)
!2017.7.3~2018.2.6

180208rironkabuka_1

日経平均は急落したものの、理論株価、すなわちファンダメンタルズが示す水準に近づいたということで、足元の相場の水準自体は深刻に心配するレベルではないと言えます。

しかし、この急落は今後しばらく、変動の程度、ボラティリティが高まることを思わせます。こうした、市場が不安定な状況になる時こそ客観的な相場の評価が欠かせません。ファンダメンタルズに基づく「理論株価」は荒れ相場の中の相場水準の拠りどころとしてのアンカーの真価発揮を期待されるところです。

併せて、上のグラフから理論株価がここに来て上昇していることがわかります。これは近時、今期の業績見通しがさらに改善していることによるもので、ファンダメンタルズはむしろ好転していることを示しています。

この、ファンダメンタルズの安定と裏腹な相場の急変動は市場のリスク評価の変動によるものと言えます。

下図は市場のリスク評価の程度を示す「市場リスクプレミアム」(以下、市場リスク)の変動とそれが引き起こすファンダメンタルズと株式相場の差、すなわち、日経平均と理論株価とのかい離を示すグラフです。

市場リスクプレミアムと日経平均・理論株価のかい離の推移(日次終値)
2017.7.3~2018.2.6

180208rironkabuka_2

市場リスクは昨年9月からほぼ一貫して下落基調を続けましたが2月に入り一転して急上昇に転じ、標準リスクを下回る水準から通常範囲の上側も超えるところまで達しています。これにより一時は2,500円を超えた日経平均と理論株価とのかい離が2月6日には152円まで低下、かい離はほぼ解消しています。

今後の相場展開は、理論株価の動向を基本としつつも、短期的には市場リスクの動きに十分な注意を払う必要がありそうです。

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投資の視点』(2018年2月7日号)より一部抜粋

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