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波乱の米国市場、FRBの選択は「利上げショック」か「見送りリスク」か=斎藤満

利上げ「見送り」で生じる2つのリスク

ではFRBが利上げを見送ればよいかと言えば、こちらもリスクが少なくとも2つあります。

1つは為替市場の反応で、ドル安が進む可能性があります。市場は少なくとも3月、6月は利上げがあると見ていましたが、ここで利上げが見送られると、金利の前提が狂い、それだけドル安になりやすくなります。政権は短期的にドル安を歓迎する面があり、むしろ日本に円高リスクがかかることになります。

もう1つは、FRBが利上げを見送るということは、当局が経済や市場に不安を持っているととられ、本来なら利上げが回避されて株価が上昇しても良いのですが、景気の先行き不安、市場不安が先行して株が下落するリスクがあります。ドルが下がると、その裏返しで原油価格が上昇する面もあります。

パウエル新議長はどう出る?

現在の市場不安が早期に解消し、また堅調な経済の下で株価上昇地合いに復帰すれば、こうした問題は回避できますが、このところの相場の動きは依然として荒く、ボラティリティも高く、長期金利はまた上昇しています。冬季五輪の間は混乱を避けるとしても、五輪明けにまた市場が不安定になるリスクはあり、FRBは利上げの是非を真剣に考えざるを得なくなると見ます。

そしてどちらに転んでもリスクがあるなら、市場に対して事前に情報を流し、事前準備を十分に取らせる必要があります。3月のFOMCはパウエル新議長のデビュー戦となるだけに、彼は慎重に市場との対話を進めると見られます。

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image by:Wikimedia Commons

※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2018年2月9日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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・適温経済と適温相場は別(2/7)
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マンさんの経済あらかると』(2018年2月9日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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