金融緩和の効果はやがてなくなり、副作用は高齢者を直撃する
金融緩和は「カンフル剤」です。元気のない人(経済)にカンフル剤を打てば元気を取り戻しますが、効果がずっと続くわけではありません。そして、経済は循環するものですから、いつか好景気が終わり不景気が訪れます。
金融緩和を続けたままでいると、やがてカンフル剤が効かなくなります。そんな時に不景気の波に襲われると、打つべきカンフル剤がなくなってしまい、経済はその後長期低迷を迫られる可能性があるのです。そうなると、再び「失われた10年」がやってきてもおかしくありません。
さらに大きな恐怖が財政問題です。日銀がやっている国債の買い取りは実質的に「財政ファイナンス」(国債を中央銀行が引き受けること。先進国は一般的に禁止している)ですから、これが続くと国債や円に対する信頼が失われてしまいます。
外国人投資家は、すかさず国債や円を売るでしょう。すると、急激な円安・金利高騰・インフレに見舞われます。物価も上昇し、ハイパーインフレのような状態になってしまう可能性があるのです。そんなことは起きないと言う人もいますが、論理的に考えると決して荒唐無稽な話ではありません。
ハイパーインフレは、確実に一部の人にとって悪い影響を及ぼします。働き口のある人は物価の高騰に比例して給与も上昇するため影響は限定的ですが、預金や年金で生活している人は物を買えなくなってしまいます。
実際にルーブル安・物価高が続くロシアでは、年金生活のお年寄りは電車代が払えないためひたすら歩いたり、家庭菜園で何とか食いつないでいるのです。同じような状況が日本で起こらない保証はどこにもないのです。
このような状況に備えて私たちができることは、まずはしっかりと働くこと、そして蓄えた資産をインフレに強い株式や不動産、海外資産にすることです。割安な優良株や外国株は、比較的手の届きやすい資産防衛手段となるでしょう。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2018年2月20日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。