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なぜ「格差婚」は幸せになれないのか? 夫婦の亀裂につながる4つの格差=午堂登紀雄

うまくいかない原因その4:価値観の格差

最後に、金銭感覚教育観といった価値観の格差も挙げられます。

当然ながら、浪費ばかりする配偶者なら、計画的な相手からは「もう支え続けられない」と感じます。堅実な人にとって、ギャンブルや買い物に依存する相手を見れば「自己の欲求を制御できない未成熟な人間」と映り、軽蔑の対象になるからです。

むろん、何を堅実か、何を浪費と捉えるかは人それぞれで、「自分の満足のためにお金を使って何が悪い」と言われれば、何も悪くはありません。

ただ、それぞれのお金の使い方が、ある程度共通の価値観に基づくものであり、夫婦の幸福や家族の発展につながらなければ、やはり家庭の維持は難しくなるでしょう。

そこで相手が、今までお金を費やしてきた分野、今費やしている分野は何かを確認し、それは本人にとってどういう意味があったのか、本人のどういう性質や志向を体現しているのか聞いてみる(あるいは想像してみる)。そして今後、どういう分野にお金を使っていこう(投資していこう)と考えているか、話し合ってみることです。そこに自分が納得や共感ができればよいと思います。

一方、高学歴同士の同類婚が増えているようです。労働政策研究・研修機構が発表した「第4回子育て世帯全国調査」によると、夫婦の最終学歴を「中学校」「高校」「短大・高専他」「大学・大学院」の4つに分類して比較すると、夫婦ともに「大学・大学院」を卒業している高学歴カップルは17.9%で、初回調査時の12.9%より5ポイント増加したそうです。

それは、大卒が良くて中卒や高卒がダメということではなく、学業経験や学習意欲がお互いに似ていることに加え、子どもへの教育にも同質の価値観を共有しやすいということだと思います。

その教育についても、子どもが様々な能力を獲得することに無関心で自分のパチンコ代を優先させる親もいれば、貧しくても子が夢中になったことを全力で協力する親もいる。塾や受験に一生懸命な親もいれば、学校以外の経験を重視する親もいる。むろん子育てに正解はないのですが、子どもがいる家庭での教育方針の違いは、結婚生活そのものに影響を与えます。

とはいえ、結婚するときに子どもの教育観など持っている人の方が少数派なので、学歴の同類婚が増えているのは、ある意味安全な選択と言えそうです。

そう考えると、同質な教育経験と労働観を持ち、同等の能力の集まりである職場結婚は、実際には失敗しにくい成婚手段のひとつなのかもしれません(同僚の手前もありますし)。

玉の輿に乗っても、進むのは茨の道

冒頭で私は「社会的階層の違いではない」と述べましたが、「同じ価値観を持つ人たちが社会の階層を構成すると考えれば、結果的には階層の違いだろう」という指摘があるなら、あながち否定できないな、とも思います。私個人が「そうではないと思いたいだけ」なのかもしれません。

逆に難しいのは、そういった確認をする時間も余裕もなく結婚したデキ婚スピード婚ハイスペック狙い婚です。様々な格差という爆弾を抱えて結婚すると、あとから爆発するリスクがあります。

そんな爆弾を不発処理するには、相手の価値観を尊重し合うこと、お互いの違いを認め、よく話し合って人生設計を刷り合わせる努力が必要でしょう。

お見合い結婚も格差を確認する時間が短い場合が多いのですが、最初から「違う」という認識の元で一緒になるため、むしろお互いに歩み寄ろうとし、長続きしやすいようです。

ハイスペック狙い婚が難しいのは、相手を尊敬し応援したいという思いよりも、単に安全圏に入りたいという安易な発想が根底にあるからです。

特に起業家や経営者は必ず浮き沈みがあるものだし挑戦意欲も旺盛。なのに相手のお金を使って自分が豊かになろう、楽をしようというのでは、思考格差があまりにも大きすぎて、すれ違いも起こるというものです。

とはいえハイスペック人材は危機察知能力も高いので、そういう打算的な異性を敏感に感じ取り、選ばないものですが。

成功者の配偶者の多くは、相手がどのような状況になろうとドンと構え、支え続けるという覚悟を持っています。私の友人の経営者の奥様は専業主婦ですが、「いざとなったら私がパートに出ればいいんだから、アナタは思いっきりやりなさい」と言われているそうです。

Next: 格差にどう向き合うべきか? 後悔しないための心構え

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