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高度成長の終焉を予見した下村治博士の慧眼~田中角栄、軽薄短小、平成バブルをめぐって

下村治氏が予見した高度成長の終焉――「ゼロ成長」は「安定成長」?

1960年代の高度成長時代、池田勇人内閣で所得倍増論のブレーンを務めた下村治氏は「オイルショックをもって高度成長は完全に終わった。これからはゼロ成長または低成長だ」と大予言し、それは大的中した。

下村博士の偉大性は、それまで高度成長の立役者だったにも関わらず180度方針転換し、ゼロ成長時代の到来を正確に的中させた点にある。また、当時から「今後は米国の一極支配になるだろう」と今日を予見し、アメリカ批判の中で生涯を閉じたことも慧眼であった。

超長期でモノが見える人というのが本当にいるんだなあと、後年、筆者は感銘を受けた。ちなみに、アメリカだと、超長期でモノが見える人は、キッシンジャー氏だと考えている。

オイルショックは内閣を解散させ、元首相を逮捕させ、高度成長を終焉させた。そして我が国において、下村博士が予言した「ゼロ成長または低成長」は「安定成長」に言い換えられることとなったのである。

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山崎和邦(やまざきかずくに)

山崎和邦

1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院特任教授、同大学名誉教授。

大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴54年、前半は野村證券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。

趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12を30年堅持したが今は18)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。

著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)、「株で4倍儲ける本」(中経出版)、近著3刷重版「常識力で勝つ 超正統派株式投資法」(角川学芸出版)等。

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