世界中が注目する米朝首脳会談。北朝鮮が沈黙を続けるなか、私は本当に行われるのか疑問を抱いている。開催されないであろう理由が3つあるので解説したい。(『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』)
※本記事は、『2011年 韓国経済危機の軌跡(週間 韓国経済)』2018年3月25日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
どうしても条件が合わない米国と北朝鮮。最終的には軍事衝突に?
開催の噂だけがひとり歩き?
今回は世界中が注目する「米朝首脳会談」について特集する。ただ、私は本当に行われるのか疑問を抱いている。
まず、米朝首脳会談の提案をしたのは北朝鮮ではなく、韓国政府が北朝鮮へと送った韓国特使だ。韓国特使は3月8日、訪米中にホワイトハウスでトランプ大統領と会談した後、このような驚くべき報告を発表した。
北朝鮮に過去最大規模の制裁を科すトランプ大統領が即決したことで米朝首脳会談が実現する流れになったわけだが、その後、北朝鮮側からは正式に米朝首脳会談を行うという話は一切出てこない。
つまり、開催されるという噂だけがひとり歩きしている状態なのだ。
開催が危ぶまれる3つの理由
この時点で非常に疑わしいが、実は開催されないであろう理由がいくつも存在する。それをまず列挙しよう。
- 米国と北朝鮮が出す条件が合わない
- 会談する場所が未だに決まっていない
- 米軍の病院船が日本に寄港
順番に上から解説していく。
<1:米国と北朝鮮が出す条件が合わない>
米国は米朝首脳会談の開催条件として、「目に見える非核化をすること」と述べている。つまり、北朝鮮が核実験を凍結しましたぐらいでは会談しないということだ。これはおそらく、国連による視察などの確認も含まれるのではないだろうか。
一方、北朝鮮は米国に在韓米軍撤収を要求している。
双方、どちらの言い分も両国にとって聞き入れられるものではない。在韓米軍撤収で得するのは中国やロシアというのも、アメリカは承知しているはずだ。
<2:会談する場所が未だに決まっていない>
米朝首脳会談は一体どこで開催されるのか。実は、未だに決まっていない。
いくつか候補地らしきものが出てきているが、そもそも、暗殺を恐れる金正恩が海外へ出かけるのも想定しにくい。なら、トランプ大統領が北朝鮮へ行くのか…?
まさか、行かないだろう。何しろ、アメリカが譲歩する理由がないからだ。
これについては、北朝鮮と韓国の軍事境界線にある地域「板門店」が1番の候補として挙がっている。しかし、それだと韓国まで顔を出してくるので、米朝としては邪魔だろう。
ならば、欧州・北欧の国での会談などもありえるかもしれない。意外かもしれないが、北朝鮮は北欧の国とも国境がある。
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