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やがて来るこの10年の「逆回転」。急落に怯えずチャンスを掴めるか?=栫井駿介

リーマン・ショックの反動やスマホの爆発的普及が重なったこの10年間はボーナス期間。景気拡大はすでに最長レベルであり、株価は割高水準。いつ転換点が訪れてもおかしくない。(『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』栫井駿介)

プロフィール:栫井駿介(かこいしゅんすけ)
株式投資アドバイザー、証券アナリスト。1986年、鹿児島県生まれ。県立鶴丸高校、東京大学経済学部卒業。大手証券会社にて投資銀行業務に従事した後、2016年に独立しつばめ投資顧問設立。2011年、証券アナリスト第2次レベル試験合格。2015年、大前研一氏が主宰するBOND-BBTプログラムにてMBA取得。

この10年はボーナス期間。いつ転換点が訪れてもおかしくはない

これまでの10年は「ボーナス期間」

私は相場の予想はしない主義です。予想したところで、相場を動かす要因は無限にあり、その動きも合理的とは限りません。だからこそ、日々の株価をチェックすることはほとんど意味がないことだと考えていますし、短期的な相場の見通しで売買することを避けます。

予測できない相場に対し、ある程度予測が可能だとすれば、経済の動きです。世界経済はリーマン・ショック後の大不況後に拡大を続けてきました。その期間はすでに10年になろうとしています。

経済が拡大すると企業の業績が上向きます。株価が長期的に企業の利益によって動くことはほとんど間違いありませんから、経済の拡大→利益の増大→株価上昇の流れが続いたのがこの10年と言えます。

日経平均株価とダウ平均株価

日経平均株価とダウ平均株価

なぜ経済は拡大してきたか?

では、なぜ経済が拡大してきたのでしょうか。

大きな理由は景気循環です。景気が悪化すると企業の生産が鈍り、やがて在庫が減少します。しかし、必要な物は必要なので、足りなくなった在庫を補うために生産が増加します。すると、労働者の給与の増加により需要が増加し、さらに生産が増えるという好循環が生まれます。

単なる景気循環にとどまらない起爆剤となっているのが、スマートフォンの普及です。奇しくも、初代iPhoneが発売されたのが2008年6月。ちょうど10年前です。スマートフォンはこれまでになかった需要を生み出し、瞬く間に世界に普及しました。これにより、需要と生産の増加に拍車がかかったのです。

さらに、経済の拡大と株価上昇に追い打ちをかけたのが、リーマン・ショック後から続く各国の金融緩和政策と2015年に起きたチャイナ・ショックです。

金融緩和は、簡単に言うとお金をばらまく政策です。必要なところにお金を行き渡らせ、経済の流れを良くしようと目論見ます。幸いこの政策は功を奏し、景気は順調に拡大を続けました。

その拡大に一瞬陰りが見えたのが、2015年のチャイナ・ショックです。中国の経済成長鈍化や過熱しすぎた株式市場が懸念され、株価が急落します。中国政府はこれをせき止めるため、景気刺激策を行いました。その受け皿となったのが、前述のスマートフォンです。

中国では半導体や液晶の製造が急増し、東京エレクトロンなどそれに連なる企業の業績・株価は右肩上がりに上昇しました。今もこの傾向は続いています。

リーマン・ショックの谷が深かったおかげで反動が大きく、スマートフォンというイノベーションも重なったこの10年は経済・株価にとってボーナス期間だったと言えるでしょう。

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