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Amazonがフィンテック事業に参入するならこんなふうに。ECを強化する秘策=シバタナオキ

Amazonはどのタイミングでフィンテック事業に本格参入するのか。世界が関心を寄せていますが、最近のいくつかのニュースからAmazonの狙いは見えてきました。(『決算が読めるようになるノート』シバタナオキ)

※本記事は有料メルマガ『決算が読めるようになるノート』2018年4月3日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:シバタ ナオキ
SearchMan共同創業者。東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻 博士課程修了(工学博士)。元・楽天株式会社執行役員(当時最年少)、元・東京大学工学系研究科助教、元・スタンフォード大学客員研究員。

メキシコでの失敗を経て、Amazonの目的と手段は固まりつつある

フィンテック事業で本気を出すのはいつ?

最近、Amazonの多角化経営が本格化してきており、多くの経営者が自社の事業ドメインにAmazonが参入してこないかと戦々恐々としている、というニュースが出てきています。

その中でも大きな仮説として、Amazonがいつフィンテック事業に本格参入するのか、という話題は尽きることがありません。

最近のいくつかのニュースを組み合わせてみると、Amazonのフィンテック事業に対する目的がなんとなく見え始めてきたので、今日はその話を書いてみたいと思います。

アメリカで擬似デビットカード機能 Amazon Cash を提供開始

まずはじめに、Amazonがアメリカで擬似デビットカードのような機能であるAmazon Cashをリリースしました。

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Amazon Cashというのは、このページで得られるバーコードをセブンイレブンなどのコンビニに持参することで、その場で現金をAmazonのアカウントに入金することができる機能です。

そしてオンラインで、その入金した現金を使ってAmazonで買い物ができるという仕組みです。

なぜこのような仕組みが必要かと言うと、アメリカではクレジットカードを持てない人が多数いるだけではなく、銀行口座でさえも持てない人が相当多数いるからです。

Amazonのメキシコにおける敗因

AmazonはメキシコAmazon.com.mxという自社サービスを提供し始めていますが、現時点ではeコマースにおける3番手のプレイヤーに留まっています。

2016年におけるメキシコでの売上は$253M(約253億円)と推測されており、決して大きい存在感があるわけではありません。

昨年Amazonは、メキシコにおいてもAmazon Cashと似たような仕組みを導入してきました。ユーザーはセブンイレブンなどのコンビニで1回あたり100~5,000ペソ($5-$27)、1日あたり最大1万ペソ($522)までを、Amazonアカウントに入金することができるというものです。

一方で、この仕組みはあまり使われていませんでした。というのは、入金可能なコンビニエンスストアが限られていたためです。

クレカ普及率が3割以下のメキシコでデビットカード「Amazon Rechargeable」をリリース

そもそもなぜメキシコでこのような仕組みが必要かと言うと、メキシコにおけるクレジットカード普及率は1/3以下であり、80%のユーザーは未だに現金での支払いを好んでいるという現実があります。

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参考までに、日本のクレジットカード利用率というのも諸外国に比べると決して高いとは言えません。

がしかし、メキシコの80%が現金というのは、おそらく日本よりも相当高い率で現金支払いが残っている国だと言えるのは間違いないでしょう。

現金で支払いたいというユーザーの習慣を変えることは難しいため、現金払いとオンライン注文という間の溝を埋めていく必要があるわけです。

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このグラフからわかるように、メキシコのeコマースの市場規模自体は年平均25%で成長しており、もしも現金決済とオンライン注文の溝を埋めることができれば、より速いスピードでより大きな成長が可能になるわけです。

そこでAmazonはメキシコで、「Amazon Rechargeable」という仕組みを導入しました。

Amazon Rechargeableは、MasterCardやメキシコの銀行であるGrupo Financiero Banorteとの提携によって実現しており、対応するメキシコにあるほぼ全てのコンビニエンスストアでAmazonアカウントへ入金が可能になった、という仕組みです。

Next: Amazonがフィンテックに進出する真の狙いとは?

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