中国との格差はこれからどうなる?
中国とのこの格差はこれからどうなるかというと、2つのことが考えられます。
1つは、人材の格差です。米国に留学したうち、半分の学生たちはそのまま米国にステイするでしょう。そして、残りの半分は中国に戻ってきて活躍します。20万人規模でそういった人材が生まれるのです。この格差は年々広がっていきます。
もう1つ、米国にステイする中国人が多いことで、米国の内政に関する中国の影響がものすごく大きくなっていくでしょう。
日本はなぜ長期衰退に陥ったのかと言うと(図-30右)結局20世紀の大成功というものに胡坐をかいて、しかもブルーカラーの大切な技術やリソースを全部海外に持って行ったのに、残ったホワイトカラーの部分を改革しなかったからです。
フィンテックにしても、銀行がクレジットカードで儲けているのでなかなか広まりません。金利が低く、0.001パーセントくらいしか付かないところに1,000兆円を預けている能天気な国民がいます。
この国は安泰でしょう。私は昔から日本を道州制に変えて、地域どうしが競うような国にすべしと言ってきましたし、憲法第8章の地方自治の部分を書き換えて、三権の一部を地方自治体に譲るということをやれと言い続けて30年になりますが、まだこれらの入り口にも立っていません。
2018年不安定化する世界の中で、日本の見通しは?
2018年の見通しですが(図-31)、安倍政権は2020年後半まで持つのではないでしょうか。アベノミクスは低欲望社会では機能しませんが、一強ゆえに不問となるでしょう。国家債務は返済不能ですので、徳政令かハイパーインフレでチャラということになると思います。
その代わり、日銀が500兆円も腹の中に抱えていますので、それが爆発する、という状況になります。
周辺諸国との関係は不安定化するでしょう。安倍首相はあまりにも米国一辺倒ですので、その他の国との外交関係は改善しないでしょう。
老後不安は取り除かれません。国はもう、何かあったときは面倒を見ると言ったほうが、1,800兆円を超える個人金融資産が自由にマーケットに出てくることになりよいでしょう。
さらに少子化に歯止めはかかりませんし、移民も根本的には増えません。若者は野心を持たず、無関心、低欲望で、行動半径20kmの“イオニスト”と化しています。イオンモールで高校時代の友達と過ごして一生暮らすというライフスタイルです。暴動も反政府運動もない。静かに衰退する「世界の模範国家」ではないでしょうか。