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ペトロを追って谷底へ。国家発行の仮想通貨は必ず大暴落へ向かう=高城剛

世間の熱が冷めてきた感のある仮想通貨。昨年のピーク時には芸能人やアーティストまでもがオリジナルの仮想通貨を発行するようになりましたが、メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』の著者で国際経済にも精通する高城剛さんは、先日ベネズエラが発行した国家初となる仮想通貨「ペトロ」に対しても懐疑的な見方をしています。高城さんは今後日本を含め、あらゆる国々が独自の仮想通貨を発行するだろうと予測しつつ、それら仮想通貨の大暴落は避けられないと指摘。その理由について解説します。

プロフィール:高城剛(たかしろ つよし)
1964年葛飾柴又生まれ。日大芸術学部在学中に「東京国際ビデオビエンナーレ」グランプリ受賞後、メディアを超えて横断的に活動。総務省情報通信審議会専門委員など公職歴任。2008年より、拠点を欧州へ移し活動。 現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍している。著書に『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社)、『「ひきこもり国家」日本』(宝島社)』など。

仮想通貨は低迷国家の最終手段? いよいよ世界経済が危ない証拠

たとえ国家が仮想通貨を発行しても、必ず大暴落は起きる

今回は、ベネズエラが国家初となる独自に発行した仮想通貨ペトロ」につきまして、私見たっぷりにお話しししたいと思います。

2018年2月20日、ベネズエラは、独自の仮想通貨「ペトロ」の購入者登録手続きを始めました。

米国の経済制裁による外貨不足を補い財政破綻を防ぐのが目的とみられますが、この仮想通貨の裏付けは、同国の原油埋蔵量にあります。

これが一般的な仮想通貨と大きな違いで、また、国家が仮想通貨を発行するのは世界で初めての試みとなります。

ベネズエラ政府によると、総額で1億ペトロを発行する予定で、初回には発行上限の38.4%にあたる3840万ペトロを機関投資家向けに発行したと発表されています。

「ペトロ」の売り出し価格は、原油1バレルの価値に相当する1ペトロ当たり60ドル(約6400円)で、「新規仮想通貨公開(ICO)」と呼ばれる新手法などで国外の投資家から資金の呼び込みを試みています。計画通りに発行上限の1億ペトロを売り切れば、調達額は60億ドルに上ります。しかし、裏付けとなる埋蔵量をめぐっては信頼性を疑問視する声も多くあります(編注:トランプ大統領がアメリカの投資家がペトロのICOに参加することを禁ずる大統領令を出すなど、早くも前途多難な状況にあります)。

そのうえ、1ペトロはベネズエラ産原油1バレルを裏付けると政府は発表していますが、ペトロと原油との交換は保証されていません

また、同国の国民もペトロを購入できません

BBCによれば、ベネズエラが抱える対外債務は1400億ドル(約15兆円)ほどあり、国債や国営ベネズエラ石油の社債の利払いなど大規模返済の期限が迫っているため、もし、この仮想通貨が失敗すればデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高いと指摘されています。

ですが、米財務省が「ペトロ」の取引が経済制裁に抵触すると発表すると、一部で熱狂的だった「ペトロ」の事前人気が急落してしまいました。

Next: 国家発行の仮想通貨でも暴落する。日本でも検討されているが…

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