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1億円で足りる? 億り人と庶民に共通するアーリーリタイア「成功の鍵」とは=俣野成敏

1. ビットコイン長者が大金を手にした時

「今、次々と仮想通貨長者が誕生している――」。最近、インターネット上を賑わすもっともホットな話題ですが、その実態に関しては意外に知られていません。周りからすれば羨ましい限りの幸運な人たちですが、実際は、ほとんどの人が「お金に振り回される状況に、何ら変わりがない」という現実が待っていることを。

【ビットコイン長者:Aさんが考えたこと】

それでは、今回ご登場いただくAさんをご紹介しましょう。Aさんは40歳の男性。会社員で独身です。仕事は介護系の企画事務で年収は約600万円。「勤務地の近くがいい」と、都心の賃貸に一人で暮らしています。Aさんの趣味はゲーム。月に1度は必ずゲームのオフ会に参加し、仲間と交流するのを楽しみにしています。どうやら、結婚する気はまったくない模様。

Aさんがビットコインで儲けたお金は、税金を支払った後で約1億円。ずいぶん前に、あるゲーム仲間に言われて購入し、そのまま忘れていたところを爆上がり。「高いうちに売ってしまおう」と現金化しました。Aさんがビットコインを現金化した理由とは、「会社を辞めたい」から

Aさんが考えたのは、「サラリーマンの生涯年収が2億円と言われる中で、その半分の金額が手に入った。サラリーマン人生もほぼ折り返し地点にきているわけだから、この金額があればリタイヤして、好きなゲームだけをして生活していけるのではないか?」ということでした。

実はAさん、当マネースクールにくる前に、別のFP(ファイナンシャルプランナー)のところへ行って同じ相談をしていました。そのFPの方が出した結論とは「1億円あっても今の生活は維持できないので、辞めないほうがいいでしょう」というもの。その答えに納得できずに、私たちのもとへやってきたのでした。

Aさんの収支を見せていただくと、なるほど、FPの方のおっしゃることはごもっともです。Aさんが示された回答は、世間一般のアドバイスを代弁したような内容でした。ここから、どのようにしてAさんのマネープランを改善するのか? 今回は、金融のプロの腕前をじっくりとご覧いただくことにしましょう。

【マネープランを設計する際にベースとなる考え方】

Aさんは手取りが月々約35万円です。現在の支出はだいたい以下のようであり、貯蓄はほとんどできていません。食事は自炊せず、外食かコンビニ食などで済ませています。特に趣味・娯楽費用が突出して高くなっていますが、これは新しいゲーム機やソフト、携帯の課金ゲームなどに費やしているそうです。

《Aさんの毎月の支出(3ヶ月間の平均)》

家賃9万円、食費7万円、水光熱費2万円、日用品費2万円、被服代1万5000円、交通費7000円、通信費2万1000円、医療・保険費2万円、交際費2万円、趣味・娯楽7万1000円、合計支出35万4000円、年間425万円、貯蓄50万円。

Aさんの希望は「会社を辞めたい」「1億円を生活資金にして、仕事をせずにゲームだけして暮らしたい」「なるべく生活の質を落としたくない」というもの。

通常、マネープランを設計する際には、次の3ステップを経て行われます。

  1. 現状把握
  2. 目標設定
  3. 手段の選択

Aさんが最初に訪れたFPの方も、始めに現状把握を行なっています。しかし、それによって導き出した答えとは「いかに手持ちの資金を長く持たせるか?=支出の削減」をススメるものでした。確かにおっしゃる通りなのですが、それでは「生活の質を落としたくない」というAさんの希望に合致しません。ましてやゲームの費用を削減するなど、Aさんにとっては耐え難いことでしょう。

私たちの方法としては、最初にお持ちの資金を振り分けることをアドバイスします。大きくいうと、資金を「当面の生活費」と、「投資に回して運用するためのお金」の2つに分ける、ということです。まずは当座の生活費として、だいたい2~3年分を普通預金などに預けておきます。

Aさんの想定している生活費とは年間約420万円ですから、850万円から1300万円弱を現金で保管しておく必要があります。ここではわかりやすく、「1000万円を手元に残しておく」とします。そうして残りのお金を運用し、元金を極力、減らさないようにしていく、というのが基本路線になるわけです。

こちらをベースにして、当マネースクールではAさんのために3つの案を用意しました。次の項目で、それぞれの案をご紹介することにしましょう。

Next: 早期リタイヤを成功させる3つのプランとは?

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