トランプ優位で進む日米会談
この日米首脳会談、当初は4月上旬の予定でしたが一旦延期となりました。その裏に、米国キッシンジャー系から安倍総理への批判が高まり、会談のキャンセルも懸念されたのですが、トランプ大統領があえて日を変えて会うことにしました。何かを得られると、安倍総理の足元を見た可能性があります。力関係は明らかにトランプ優位となります。
そこで安倍総理は、何とかトランプ氏に拉致問題解決を依頼し、その成果をもって危機脱却、起死回生策としたいようです(編注:原稿執筆時点4月17日。初日の会談でトランプ大統領は、6月初旬までの実現を目指す米朝首脳会談で拉致問題を取り上げる意向を示しました)。
一方のトランプ氏は、中間選挙を意識し、日本からとれるだけとって成果をアピールするつもりです。成果としては、まず日米二国間協議に持ち込み、有利な力をもって米農産物、自動車の輸出拡大、対日赤字の大幅削減を約束させる意向のようです。
対日赤字削減の一環として、日本が米国のミサイルなど武器の大量購入を約束し、自動車輸出の自主規制を促す可能性があります。また、農産物面では、米国の遺伝子組み換え種子の受け入れ、専用農薬の受け入れを求めてくる可能性があります。安倍総理がどこまで防御できるかです。
安倍首相は会談後に退陣を迫られる
結果としては、拉致問題は一応「聞き置いた」形にするものの、具体的には行動はしてもらえず、反面、二国間協議(FTA)を受け入れさせられ、農産物や自動車で大幅譲歩させられるリスクがあります。日本の農業や自動車関連には無視できない影響が及ぶことになります。その場合、安倍総理は「得点」にならず、帰国後に「退陣」を求める嵐にさらされます。
拉致問題を「聞き置いた」ことで、しばらく期待を持たせる可能性はありますが、北朝鮮が頑なに拒否しているだけに、拉致問題はなかなか埒が明かないかもしれません。中国が日本に接近していますが、これも安倍政権を支援するというより、今の政権なら得るものが大きいと見られている可能性があり、外交で起死回生、というのは期待が大きすぎるように見えます。
もり・かけ、日報、財務次官のセクハラ疑惑と、どれも破壊力の大きい爆弾で、これが同時に破裂すれば、安倍退陣の声は一層強まると見られます。
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