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5年で株価5倍のニトリ。もう2度と割安成長株を見逃さなくなる視点とは?=栫井駿介

不安要素を洗い出す

ニトリの不安要素とは何でしょうか。家具業界では飛ぶ鳥を落とす勢いで、少なくとも規模感で見れば競合らしい競合は見当たりません。スウェーデンからイケアが進出してきていましたが、店舗数はわずかで、しかも日本人が求めるきめ細やかな商品の作りとは少し趣が異なっています。

利益率でも他社を圧倒しています。ニトリの営業利益率が17.5%あったのに対し、島忠は7.7%、大塚家具に至ってはわずか1.5%です。これはSPAという製造コストをコントロールできるビジネスモデルを採っているからこそできる数字です。

利益率が高いということは、そう簡単に利益がなくなることはありませんし、積み重なる利益で次の一手を打つことができます

輸入企業であることから為替には左右されますが、長期的に考えれば気にするほどのものではありません。為替以上に、より生産コストの安い国を見つけることの方がよほど大きな問題です。

すでに盤石の地位を築いていて、目立った競争相手はなし。その上利益率も高いとなれば、事業面においてリスクらしいリスクは見当たりません。そんな銘柄がPER10倍で放置されていたとするならば、まさに「お宝銘柄」と呼ぶことができます。

もし、本当に成長が鈍化してこれ以上成長しなかったとしても、そのままのビジネスで一定の利益を稼ぎ続けるならPER10倍は高い水準ではありません。つまり、下がるリスクを抑えて、上がるメリットだけを取れる銘柄と言うことができるのです。

割安で堅実な銘柄を買い、ひたすら待つ

幸いその後の業績も堅調に成長し、売上高は7割、純利益は8割増加しました。株価が5倍になった原動力はこの成長力にあることは間違いありません。

しかし、株価が伸びた要因はそれだけではありません。2012年末からのアベノミクスや2016年末からのトランプ相場による市場全体の上昇が大きく影響しています。PERは10倍から30倍に伸びました。

「今でも買いか」と言われると、私はそうは思いません。いくら成長余地があるとは言え、PER30倍の銘柄にはなかなか手を出せません。相場次第ではPER20倍程度まで下がっても決しておかしくないのです。

いい銘柄だからいつ買ってもいいということはありません。投資の成果を左右するのは間違いなく「買値」です。これまでの上昇も業績だけではなく相場に依存する部分が大きく、そこに期待するのはご法度といえるでしょう。

Next: 「第2のニトリ」を見つける視点とは

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