営業トークや日常会話に使える日本の経済指標が2つあります。内閣府発表の「景気ウォッチャー調査」と「消費者物価指数」で、野菜やサービスの価格について語れるようになります。(『高梨彰『しん・古今東西』高梨彰)
※本記事は有料メルマガ『高梨彰『しん・古今東西』』2018年4月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。
日本証券アナリスト協会検定会員。埼玉県立浦和高校・慶応義塾大学経済学部卒業。証券・銀行にて、米国債をはじめ債券・為替トレーディングに従事。投資顧問会社では、ファンドマネージャーとして外債を中心に年金・投信運用を担当。現在は大手銀行グループにて、チーフストラテジスト、ALMにおける経済・金融市場見通し並びに運用戦略立案を担当。講演・セミナー講師多数。
「野菜がようやく安くなりましたね」会話の掴みに使える経済指標
話のネタになる経済指標
全ての営業マンの方々にお勧めできる、日本の経済指標が2つあります。
1つは内閣府が出している「景気ウォッチャー調査」で、俗に「街角景気」と呼ばれるデータです。
そしてもう1つが「消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)」です。通常月末に公表されますが、ゴールデンウィークの関係でしょうか、今月は4月20日に3月分のデータが公表されています。
どちらもニュースで全体の数値は報じられますが、中身は細かな記事にしか出てきません。でも営業トークに大切なのは、その中身です。
ちなみに、消費者物価指数の概要(PDFファイル)は、総務省のサイトの下記で見られます。
http://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
3月分で言えば、「生鮮食品を除く物価は前年同月比+0.9%」など総合指数が最初にあって、その後に項目毎の指数がズラッと並んでいます。この項目毎のデータを使うと面白いです。
野菜、住居などの価格から経済が見える
3月分でみると、「生鮮食品」が目立ちます。3月は前月比-7.9%です。生鮮野菜-13.6%をはじめとして、2月までの悪天候等の影響が緩和された様子がデータにも出ています。「野菜ようやく下がったねぇ」と裏付けをもって「営業トーク」に使えます。
また理屈っぽい「営業トーク」には、「住居」という項目が便利です。これ、近年ほとんど動いていません。家賃があんまり上がっていないことや、住宅価格も全国でみればそれほど上昇していないことなどを思い返せば、合点が行くかと思います。
で、この「住居」は、CPI全体に占める割合が2割ほどあります。CPIの各項目のうち2割が「ほとんど動かない」のです。
このため、日銀が目標とする「CPI+2%達成」も難易度が高いと言われています。「住宅」を諦めて他の8割で物価上昇を目指さなくてはいけないのですから。
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