何とかして自国への米ドルの強い影響を排除しようと、イランが必死の努力をしています。その努力は報われるのか否か? 海外の報道を翻訳しながら解説します。(『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』)
※本記事は、『いつも感謝している高年の独り言(有料版)』2018年4月25日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。
米ドル使用を停止したいイラン政府。自国通貨は不安定だが…
外貨準備高を「ユーロ建て」発表に変更
何とかして自国への米ドルの強い影響を排除しようと、イランが必死の努力をしています。すぐには成功しないでしょうが、努力しているのです。
さて、その努力は報われるのか否か? 海外の報道を翻訳しながら解説します。
米国との対立が深まる中で、米ドル依存を減らすべく、イランは4月18日、外貨準備高をユーロ建てで公表することに決めた。
なおIMFでは、各国の外貨準備高は米ドル建てで発表することがほぼ強制的に決まっている。
この新政策で、イランの政府機関や国営企業に対して、米ドルの代わりにユーロの使用が進むことになるだろう。
出典:Iran switches from dollar to euro for official reporting currency – Reuters(2018年4月18日配信)
米ドル使用を停止したいイラン政府
イラン中央銀行のValiollah Seif総裁は先週、最高宗教指導者Ali Khamenei師が「現在イランの海外取引には現実的に米ドルを使っていない(使えない)のだから、総裁が言うように、米ドルを止めて、ユーロで済ませば良いではないか」と語ったことを明かした。
イラン政府としては何年も以前から米ドルの使用を停止させようとしていたのだが、意に反して、依然として国際取引には米ドル、渡航にも米ドル、外貨貯金も米ドルという構図が現在も続いているのだ。
出典:同上
すでに米系銀行は、イランとの取引には腰が引けており、米国に海外支店を置いていない銀行でも米ドルの使用をすれば、経済制裁を破ったことになるので、躊躇しているのだ。
出典:同上
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