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「物価2%」の結果に明暗。日本と米国のデフレ対策、どこで差がついたか=児島康孝

日本が陥った悪循環のスパイラル

マイナス金利は、大きな「発明」です。それまでは、金利はゼロより下げることができませんでした。

つまり、物価上昇率(インフレ率)がマイナスになると、金利がゼロで、物価上昇率は、どんどん下がります。いわゆるデフレの局面ですが、するとますますその「差」である実質金利が上昇することになります。

利上げしなくても、強力な金融引き締めになるという、悪循環のスパイラルに陥るのです。金融緩和すべきところが、金融引き締めとなって、ますます恐慌が激しくなるというわけです。

これが、まさに日本で起きたことです。

デフレに合わせて「金利のマイナス幅を拡大」する必要があった

ですから、日本の物価上昇率がゼロより上であればマイナス金利は必要ないのですが、物価上昇率がゼロより下になってデフレ基調の場合は、それに合わせて金利のマイナス幅を拡大する必要があるということです。

日銀は、実質金利について国民に説明してマイナス幅を拡大する必要があったのですが、名目の金利がマイナスになることへの批判を恐れ、微マイナスでやめてしまった。これが、失敗の原因です。

このあたりが、ヘリコプターマネーと批判されても実行するバーナンキ氏の「果敢さ」と、微マイナスで躊躇する日銀の違いです。

「インフレ率の低さ」は言い訳にならない

日本は、アメリカよりも物価が低迷したのだから、仕方がないのではないかという見方もあるでしょう。

しかし、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁をみれば、その言い訳も通用しないことがわかります。

欧州も、日本に似て、インフレ率(物価上昇率)はアメリカよりも低めです。しかし、マイナス金利の導入に躊躇がありませんでした。そして、ECBも、アメリカに続いて、物価の上昇へと歩みを進めています。つまり、欧州も、元のノーマルなインフレ率のある経済へと、少しずつ歩んでいるのです。

Next: このままではデフレが続く…。日銀が取るべき対応とは?

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