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米経済のピークアウト感が見え隠れ。米朝接近を横目にイランで起きていること=近藤駿介

米経済にピークアウト感が見え隠れしている

北朝鮮問題のテーマにした「政治的Show Time」の陰に隠れてしまっているが、米中間の貿易問題に進展はない

トランプ大統領がUSTRに2か月以内に1600億ドルに相当する制裁を検討するように指示したのは4月のことであり、結論が出るのは6月に入ってからとなる可能性が高い。

トランプ政権がどのような制裁措置を打ち出すのかが明らかでない現段階は、企業が大きな決断をし難い局面だといえる。つまり、足元は米国経済が堅調であったとしても、企業活動が制約され停滞しやすい時期にある。

先週に発表された「ISM購買担当者指数」が、製造業・非製造業ともに前月を下回るだけでなく、市場予想も下回ってきたのはこうした点が反映されている可能性を否定できない。

中国に対してどのような制裁措置を打ち出すのか不透明で動き難い中、金融市場は次回6月のFOMCでの25bpの利上げ(FFレート1.75~2.00%)を100%織り込んでいる。2年国債利回りが2.5%台に乗せて来ているのも、FRBの利上げを織り込んでいるからである。

一方で10年国債利回りが節目の3%の攻防になっているのは、米国経済のピークアウト感が見え隠れし始めているからである。

FRBと債券市場、どちらの見方が正しいのか?

北朝鮮問題の解決は、米国社会に漂う漠然とした不安を払しょくするものではあるが、米国経済に対しては中立的なものである。

社会を覆う暗雲が晴れることを好感してリスクオンに走る株式市場と、米国経済にほぼ中立と思える北朝鮮問題とは関係なく米国経済の行方に警戒感を強める債券市場

それは、今後の物価情勢に強気の姿勢を見せるFRBと、利上げ等による米国経済の鈍化を警戒する債券市場との対立でもある。

株式市場と債券市場、そしてFRBと債券市場の将来の見通しに対する乖離は、どちらが正解であるかが明らかになった時点で修正に向かうことになる。

image by:LMspencer / Shutterstock.com

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元ファンドマネージャー近藤駿介の現場感覚』(2018年5月14日号)より抜粋
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