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ユーフォリアの中の醒めた目、株価暴落を見通した人たち 平成バブル崩壊の真相(後編) – 山崎和邦 わが追憶の投機家たち

バブルは「常識力」の試金石。いまの日本、そして中国の今後は?

さて、足元の日本市場では、6月10日の衆院財政金融委員会で黒田総裁が「金融市場について『バブルの動きは観察されていない』と話した」(日経新聞6月16日)。

また、その1ヶ月前には甘利経産相が「ミニバブルなら制御可能である。ミニバブルはむしろ歓迎するところである」とテレビで語っている。

とはいえ、現時点で日本が、いわゆる「バブル」の異常に足を踏み入れていないことは、本稿をお読みいただいた後なら明白であろう。

目下のバブル崩壊は眼の前の中国で起きている、と言える。上海株は一日の売買代金が20兆円、日本の10倍だ。6月12日に最高値5178ポイントをつけた後、7月上旬にかけ大幅下落し一時3500ポイント割れまで示現した。

これはNYダウに例えれば5000ドル以上の下げに匹敵し、仮にそうなれば日経平均は5千円くらいは下がっても不思議はない。現に平成になってから1年内に日経平均が5000円下がったことは7回あった。

ところが上海暴落でも日本が平気でいられるのは、中国金融市場が如何に信用されてないか、の裏返しであろう。

聞くところによると居住中の自宅を信用取引の担保にしてもいいのだそうだ。笑える話だが、実はアメリカも2007年までは字も読めない移民に住宅ローンを契約させて債権化し世界中に売りまくった。その罰はサブプライム破綻と言う形で現れてリーマンショックの淵源を作ったのである――。

ともかく、このようにして平成バブルは崩壊すべくして崩壊し、その後の「失われた20年」を作った。投資家は勿論のこと、政治家、中央銀行、大蔵省の全てが「異常」だったのだ。

ただし、これまでもこれからも、バブルとは、グリーンスパンの言うような「後になってみなければわからない」ものでないことは強調しておきたい。

「バブルとは何か」を常時わきまえ、古今東西の失敗事例を研究する投資家なら、事前に安全地帯に身を置くことも充分に可能だった。平成バブルの崩壊は、そのような「常識力」の試金石でもあったのである。

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山崎和邦(やまざきかずくに)

山崎和邦

1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院特任教授、同大学名誉教授。

大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴54年、前半は野村證券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。

趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12を30年堅持したが今は18)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。

著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)、「株で4倍儲ける本」(中経出版)、近著3刷重版「常識力で勝つ 超正統派株式投資法」(角川学芸出版)等。

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