19カ国も「制裁」しているのは米国だけ
繰り返すが、世界は米国の1強である。どの国も例外なく、米国にどう対応するかが、国の将来を決める。
米国防省は、6月1日に議会の要求に応じて、米軍が2017年にアフガニスタン・イラク・シリア・イエメン・リビア・ソマリアの6カ国で、499人の一般人を殺害したと報告した。こうした公表は初めてである。
また、米国の経済制裁の対象国は、2017年10月時点でロシア・ベネズエラ・キューバ・北朝鮮・イラン・イラク・シリア・リビア・ソマリア・イエメン・コンゴ・スーダン・ベラルーシ・リベリア・中央アフリカ共和国・ジンバブエ・ウクライナ・レバノン・南スーダンの19カ国とされている。
これほど、他国を「制裁」しているのは米国だけだが、これは1強であるためだ。
米軍により一般人が殺害された上記の国々うち、アフガニスタンを除く5カ国が、経済制裁も受けている。
このことは状況が許せば、米国は他の経済制裁国14カ国でも、武力行使を行う可能性があることを示唆している。
アフガニスタンを操ってタリバンと戦い続ける米国
例外のアフガニスタン政府は、経済制裁どころか、反対に経済援助と軍事援助を受けている。米の傀儡政権がタリバンと戦っているからだ。
米ブッシュ政権は、2001年にアフガニスタンに侵攻した。タリバン政権が、911テロの首謀者とされたオサマビンラディン氏の引き渡しに応じなかったという名目だった。
それ以前から、タリバンによるバーミヤン遺跡の破壊などが世界的に報道されていたので、米軍はアフガニスタン国民をタリバンから解放する正義の味方だという印象だった。
そして17年が経った現在も、タリバンはアフガニスタンでの最大勢力を維持している。国内では支持されているのだ。
そのオサマビンラディン氏は、隠れ家で家族との団らん中に、丸腰のまま、裁判にもかけられずに、米軍によって殺害された。オバマ政権の頃だ。
テロ被害者のはずの米国は、真相を解明するチャンスを得ながら、自ら闇に葬ったのだ。
トランプ政権になって、米軍はアフガニスタンに追加配備することを決めた。その理由として、米国はこれまでアフガニスタン戦争で7000億ドルを費やしたが、同国には少なくとも3兆ドルの価値の鉱物資源があり、十分に回収可能のためだという。
政治を「わかりやすく」したトランプ政権
トランプ政権になって、少なくとも1つだけ、良くなったことがある。
「トランプ氏のツイッターによって、しばしば米国の本音が聞けるようになった」ことだ。
公式発表やメディアの報道を見る限り、米国がなぜアフガニスタンに攻め入ったのかが、どうもよく分からなかった。バーミヤンの遺跡破壊が野蛮なら、イラクのメソポタミア文明の遺跡を空爆し、壊滅させたのは誰なのか?
トランプ政権が教えてくれたのは、米国は経済的な利益のために戦争を起こすということだ。これまでもそういう見方があり、私などもデータから、そう見ていたが、それらは陰謀説だと退けられていた。
トランプ大統領は、政治というものをわかりやすくしてくれたのだ。