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投資家心理はどう移り変わる? イタリア国債で見えた相場予測の大原則=久保田博幸

市場コントロールに失敗した日銀

日銀の金融政策は、金融市場を通じて行われる。今回の日銀の異次元緩和によって、条件が整えば短期金利だけでなく、長期金利もピンポイントでコントロールが可能ということは示された。

しかし、金利をコントロールし、市中に出回る資金量を調節したところで、それがピンポイントで物価を動かすことにはならなかった

日銀は否定しているが、異次元緩和は通貨安もある程度想定していたものと思われた。こちらは金利ほどコントロールはできていなかった。これにはむろん通貨は相手国もあり、また金融政策だけで通貨はコントロールできるものではなかったためである。

日本の長期金利は国債への信認が強いこともあって、いまのところ日銀のコントロール下に置かれているとみえるが、条件が異なってくれば、長期金利も市場で決定されるだけにアンコントローラブルに陥る可能性は十分ある。

この国債への信認度合いとかが国債市場には大きな影響を与える。ここにきてのイタリア国債の荒れた動きの原因もそうである。

流れが見えても、説明ができない

ただし、その信認度合いがどのように変化し、さらに市場のポジションの方向き度合いがどのようなものであり、結果として目先はどう反応し、それもひとつの要因となって、どのようなトレンド形成が成されるのかを予測することは難しい

物理特性に応じた動きであれば予測は可能かもしれないが、人の心理状態とポジションの傾き度合いが相まって相場が形成される。

株や為替、債券などはいろいろな材料をどのように捉え、それが結果としてどう値動きに反映されるのか。長年ディーラーとして相場に四六時中向き合っていると、何となく相場の動きが見えてくるものの、それがどのような理由で動いているのかを的確に説明はできない

相場が動いている理由も的確に説明できないとなれば、予測はさらに困難となる。

どんなにAI技術が発達しても市場予測は困難

相場の先行きを正確に予測するのは、過去の膨大データをもとにし、人間心理をそこに加えたとしても、困難に近いのではなかろうか。

ポジションを抱えた、もしくは抱えようとしている人達の立場、状況は十人十色となっている。しかも、テールリスクと呼ばれるものの多くは自然現象だけでなく、人が絡んでいる。リーマン・ショックやギリシャ・ショックもまさにそうであり、ブラックマンデーなどはポジションも絡んでいた。

これらのリスクを分析して的確に相場を予測することは、AIという技術がどんなに発達しても難しいのではなかろうか。

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牛さん熊さんの本日の債券』2018年6月6日, 7日号より
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