退職世代の奥の手:限定的な信用取引の活用
ただし、資金余力を残していたとしてもその金額には限りがあります。リーマン・ショックのような暴落はバリュー株投資家にとってはまたとないチャンスですが、資金が少なければそのチャンスを活かすことはできません。
そこで活躍するのが信用取引です。信用取引とは、現金や株式を担保にして、元手より大きい金額の取引をすることです。
よく「信用取引は危険」と言われます。信用倍率2倍の取引をしたとすれば、利益が2倍になる一方で損失も2倍になり、株価が下落すると「追証」が発生してしまうことがあるからです。私自身も、原則として信用取引に手を出すべきではないと考えます。
したがって、信用取引を使うのはよほどチャンスが差し迫った時に限るべきと前置きします。
一度暴落していれば、その後の下落余地は限定的と見ることができます。業績の安定した割安株ならその傾向が強く、信用買いのリスクを抑えることができます。
信用取引には担保が必要ですが、そこで活躍するのが上記の安定配当銘柄です。担保となる株式の値下がりは追証のリスクを上昇させますが、値下がりリスクの小さい安定配当銘柄なら担保として適しています。
それでも、リスク管理のために信用倍率は1.5倍程度までに抑えることが肝心です。また、割安であっても一気に上限まで買うのではなく、少しずつ買うのが望ましいでしょう。買い始めてからさらに値下がりしない保証はどこにもないのです。
自分の状況がどちらに近いか、イメージが掴めたでしょうか。もちろん、これだけで全ての状況を説明できるわけではありません。ぜひ様々なパターンを想定しながら、ご自身に合った方法を見つけてみてください。
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『バリュー株投資家の見方|つばめ投資顧問』(2018年5月31日号)より
※太字はMONEY VOICE編集部による
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。