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「日銀の追加緩和はあるのでしょうか?時期と規模は?」個人投資家Tさんの質問に回答! – 山崎和邦 わが追憶の投機家たち

山崎和邦の回答:

まず、私の言う「安保問題による安倍内閣の複雑骨折」を立て直すのは金融政策ではなく、あくまでも政治的営為の問題かと思います。

また、CPIの基準について、Tさんが「ゲームの途中でのルール変更」とおっしゃるのは無理もないですが、過去、このようなケースでは実際にルール変更が行われてきたのも事実です。

ご指摘の原油を除いた物価指数は7月の日銀月報から開示が始まっていますが、鉱工業生産指数も電力は除くとか、景気先行指標からあろうことか株価を削除する(1987年)といったことがありました。

株価は10年以上を経て先行指標に復活しましたが、これが「失われた13年」(1990年暴落~2003年りそな公的資金救済まで)の景気判断を誤導した主因だと私は思っています。

さて、それらを踏まえ本題の「追加緩和ありやなしや」に関する見解ですが、黒田さんは「今の時点では追加緩和は必要ない」と思っておられるようです。

原油下落は想定外だったと言っていますが、今年後半には物価指数はかなり上昇すると予想しているわけです。

そのため、黒田さんが「物価上昇の見通しはよほど怪しいぞ」と思わない限りは追加緩和はないでしょう。

また、もしやるべき事態になったとしても真新しい手法ではなく、国債買い付けの増額、ETF買い付けの増額でしょうし、それも大幅な増額にはならないでしょう。

なぜなら、国債の売りものに関して、今年のGPIFの国債売りのような大きなものがなく、やればやったで出口戦略が難しくなるからです。

黒田さんは、出口は自分の任期にはないから知らない、というような人ではなさそうです。いずれにしても今年はないと言えます。もしあっても来年でしょう。

参院選が9月、消費増税も9月、ですからその前と考えます。

そうなれば、今は「休むも相場」でしょう。世間では、今年の目標高値は23,000円とか24,000円とかいう風潮がありますが、所詮は140%上がったものがあと10%か15%上がるというだけのことです。

私は、ポジションに関しては、今までの140%で良しとして、ここは今までに仕込んで評価益のあるものの売り場を探す時だと思っています――


東京の投資家・Tさんと山崎氏のやりとり、いかがでしたでしょうか。

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山崎和邦(やまざきかずくに)

山崎和邦

1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院特任教授、同大学名誉教授。

大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴54年、前半は野村證券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。

趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12を30年堅持したが今は18)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。

著書に「投機学入門ー不滅の相場常勝哲学」(講談社文庫)、「投資詐欺」(同)、「株で4倍儲ける本」(中経出版)、近著3刷重版「常識力で勝つ 超正統派株式投資法」(角川学芸出版)等。

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