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朝日印刷、インバウンドの好調受け化粧品向けが伸長 OTC向けも好調で18年は増収増益

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2018年6月1日に行われた、朝日印刷株式会社2018年3月期決算説明会の内容を書き起こしでお伝えします。IR資料

会社概況・経営理念

濱尚氏(以下、濱):みなさん、こんにちは。ただいまご紹介いただきました、朝日印刷株式会社代表取締役社長を拝命しております、濱でございます。本日はお時間を頂戴しまして、私ども、朝日印刷という会社の説明をさせていただきたいと思います。

実は私ども、こういった投資家のみなさんに集まっていただいての会社説明会というのは、昨年に続きまして2回目でございまして、まだまだ不慣れな点等あるかもしれませんが、できるだけわかりやすく、丁寧にご説明をしていくつもりでおりますので、ぜひよろしくお願いします。

それでは資料に沿って、説明をさせていただきます。会社概要の一番最初のところです。

私どもは、創業が明治5年の会社でございまして、創業以来146年を迎えている会社でございます。その中で創業200年を見据えて、自分の子ども、孫、そういった世代も朝日印刷に入社させたい。そういう会社作りをしていこうということを理念に掲げて、共通の思いで取り組んでいるところでございます。

所在地等々は、ご覧のとおりでございます。平均年齢が34.5歳というところが、この印刷業においては、かなり年齢が低いと言いましょうか、若いメンバーが多い会社だというふうに認識をしております。

一般的な印刷業ですと、おそらく40歳は超えているんじゃないかなと思いますが、今年(2018年)の4月にも、大卒・高卒合わせて84名の新入社員に入っていただいております。本当に若い生きのいい人間に、非常にたくさん工場でも働いてもらっているという、そういう会社でございます。

朝日印刷の沿革

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会社の沿革を簡単に申し上げますと、先ほども言いましたとおり、明治5年に創業をしました。富山の魚津市というところで創業をしているんですが、現在は移転をして、富山市に本社を構えております。

設立は昭和21年でございますが、2つ、大きなターニングポイントになっているところかなと思います。

一つは昭和30年代前半、医薬品の印刷包材に特化をしたというところでございます。

私どもは薬の包装材料……パッケージですとか、説明書、そういったものの包装材料をメインにやっておりますが、この当時までは実は、創業当初からは一般の商業印刷物も手掛けておりました。この昭和30年代前半、今の私どもの会長のお父さんが社長の時代ですけれども、当時の売上としては、薬の包材が半分、一般的な商業印刷物が半分という時代に、「もう薬一本でいくぞ、他がやりたがらない難しいほうに特化してしまおう」ということで、当時他でやっておりました商業印刷物は、版を他の印刷会社さんにお譲りしました。

そこからが、今の朝日印刷の第2創業と言ってもいいぐらいの、大きなターニングポイントになっております。そこから医薬に特化をして、約20年後、医薬では順調にお仕事を頂戴するようになりまして、薬以外の柱が必要なんじゃないかという議論から、薬に比較的近い、今私どもの2つ目の柱であります化粧品の業界に足を踏み入れました。

これが約40年前、昭和50年代前半でございます。今となっては、この医薬と化粧品という分野が、私どもの大きな柱の一つになっております。そこから平成5年には、現在のJASDAQに上場し、平成14年には、今私どもがおります東証2部に上場をさせていただいております。そして平成27年、富山以外に初めて物作りができる「京都クリエイティブパーク」を京都に作らせていただきました。ざっとした沿革は以上でございます。

スライド右上の、賞状みたいなもの。これは何かと言いますと、明治8年のものなんですが、当時は印刷業というのは国からの許可制だったというふうに聞いております。これは、国からの「印刷してもいいよ」という、そういう証明書でございまして、時の内務大臣というのが大久保利通です。そのぐらいの時から印刷業に携わっている、そういう会社でございます。

事業変遷

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(スライドの)一番左下、これは何かといいますと、英和辞典です。こういったものから、スタートをしております。それが、ご存じのとおり、私どもの富山というのは、薬が地場産業で非常に盛んな土地でございますので。やはり、地元のこの薬に関わるお仕事を少しずつ増やすことができまして、戦後、先ほども言いましたけれども、昭和30年代に薬に特化をし、50年代には化粧品の業界にも参入をしました。

医療用医薬品は、なかなかみなさんが目にすることはないかもしれませんが、みなさんがお医者さんに行って、処方箋をいただいて調剤薬局に行って手にするものです。みなさんのお手元に行くときには箱がなく、ほぼ、ばらされた状態で袋に入ってもらえる。そういう薬でございます。

ですから、箱を目にすることはないかなと思うんですが、こういった箱(の印刷をしていました)。それから、OTC-Over The Counter、いわゆるドラッグストアなどで目にする市販薬、それから化粧品、そういった包装材料に少しずつシフトをしてきております。

そして、昭和60年過ぎぐらいから、包装システム販売という事業にも参入をしております。薬を包装していくラインは、私どもは自社で作っているわけではなくて、機械メーカーさんとタイアップをしているんですが、こういう包装機にも事業として参入をしました。

一つの薬を作るのに、パッケージは朝日印刷、包装機は包装機メーカー、ほかの材料は他のメーカーとバラバラに発注するより、一つにまとめて、一社で管理をしてほしいというお客様のご要望も非常に多いです。私どもとしましても、もともと箱を作っているメーカーですが、包装機の案件も非常に最近多くなってきております。事業としては、こういうかたちで変遷をしてきております。

売上構成(連結) 2018年3月期

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売上の中身は、連結で385億円のうち、ほぼ9割が印刷包材、いわゆるパッケージですとか説明書ですとか、包装材料になります。残りの1割が、先ほどお話ししました包装機、包装システムというものになります。その9割のうちの70パーセントが薬に関わる包装材料で、20パーセント弱、18パーセントが化粧品になります。

こういうふうに見ていただいてもお分かりのとおり、まだまだ薬のほうが圧倒的に(売上の)柱としては太いんですが、朝日印刷としましては、この医薬品・化粧品が、会社としての大きな2つの柱になっているというところでございます。

今、3本目の柱を見つけるべく、健康食品だとか、一般的な食品だとかも手掛けてはおりますが、まだまだ医薬・化粧品というこの大きな2本の柱レベルにまではなっていないのが、現状でございます。

朝日印刷の業績と株価推移

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続きまして、私どものここまでの業績・株価の推移をグラフ化したものでございます。

棒グラフが売上の額になります。そんなに大きな伸びではないですが、ほぼ右肩上がりで売上の数字を作ることができております。

利益に関して、場面、場面で投資もしてきておりますので、若干上がり下がりはありますが、全般的に見て、売上の伸びに比例をして利益も上がってきているということです。私どもは140数年やらせていただいておりますが、前年を下回る数字……売上が、おそらく5期もなかったと思います。本当に地道ではあるんですが、前年を上回り、上回り、ここまでこれている会社でございます。

下のグラフは、株価の推移を表したものでございますが、これは何が言いたいかといいますと、2008~2009年のリーマンショックのころの、日経平均と私どもの株価を表しているんですけれども。

リーマンショックの影響等々を、ほとんど受けずに成長をしてきている会社だと言えると思います。先ほどご説明しましたとおり、私どもがメインにしている商品が、薬・化粧品という、いわゆる一般的な景気というものにはあまり左右されない業界です。そういう意味では、世の中の景気がどんと下がると、逆に相対的によく見えるといいましょうか。そういうものがこのグラフを見ても、わかっていただけるのじゃないかなというふうに思います。

強み① グループトータルサービス力

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では朝日印刷という会社には、どんなところに強みがあるんだというところを説明をさせてただきます。

一般的に印刷会社は、印刷屋、製版屋、デザイン屋、加工屋というような、「なんとか屋」と言われることが多いのですけども。なんでかといいますと、もともと分業が多い産業なんです。

印刷する会社は印刷だけ、製版をする会社は製版だけ、加工する会社は加工だけというような、そういう産業です。そういう産業の中で、企画・デザインから、最後の箱になる糊付まで、自社で設備を整備して、一貫して物をつくれるワンストップのサービスというのは、一つの大きな特徴になるんじゃないかなと思います。

強み② グループ販売拠点・製造拠点

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それから強みの2点目としましては、国内の北は山形から南は熊本まで、販売拠点を20拠点持って、展開をさせていただいているというところです。競合になる印刷会社さんというのは、全国で数えても10社にはならないんですが、その競合先が全国でどのぐらい展開しているかと言いますと、一番多いところでも、5~6拠点だと思います。

私どもは全国20ヶ所で、お客様に近い場所で営業が活動をし、お客様に便利に使っていただいている。それがお客様に非常に評価をしていただいている、一つのポイントじゃないかなというふうに思っております。東北営業所が山形といいますと、ピンとこないかもしれませんが、山形には製薬メーカーさんがけっこう集中しているんです。私どもは、お客様が集積しているエリアに営業拠点を置いて、お客様に便利に使っていただいているというところでございます。

四国にしましても、高松だったり松山ではなく、徳島に営業所を出しております。これはなぜかと言いますと、巨大製薬会社さんの一つですけれども、大塚製薬さんが徳島にあるところから、(当社も)徳島に出させていただいております。あとは宇都宮であったり、高崎であったりにも出しているんですが、あまりピンとこないところは、「この近くにお客様がある程度固まっている」というふうに、理解をしていただければと思います。

強み③ 圧倒的な市場シェア

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それから、強みの3つ目でございます。(スライドは)業界のシェアを独自に算出したものです。残念ながら、シェアで、公式に出されたものはありません。この算出の根拠は、ざっくり言いますと、世の中に出ている薬は、要覧などで、どれだけのものが存在しているかというのがわかります。

その製品・アイテムごとに、私どもの営業が、そのアイテムのパッケージであったり、説明書であったり、ラベルであったりというものを当社で受注しているか、していないかをチェックして、最終的には手計算、エクセルで計算をしております。公の数字ではありませんが、当たらずとも遠からずというふうに思っております。

薬の業界においては、現在はおそらく約4割のシェアじゃないかと思います。

それから化粧品は、昨年までは約第2位と申し上げておりましたが、昨年もたくさんの化粧品のご注文をいただいておりますし、競合となっている会社さんの売上等々も拝見させていただきますと、おそらく化粧品も、もうトップに出ているんじゃないかなと。私どもの念願であった、1位を達成しているんじゃないかなと思っております。

そして、このシェアだけではなく、私どもの特徴の一つにもなるんですが、偏りのない数多くの得意先とお取引をさせていただいています。先ほど、連結の売上高を385億円というふうに申し上げましたが、私どもの会社のお客様で、一番売上の多いお客様というのが、10億円ちょっとなんですね。ですから、3パーセントいくかいかないか、トップのお客様でも総売上に占める割合というのが、それだけになります。これは本当に私どもの大きな特徴であり、セールスポイントになるんじゃないかなというふうに思います。

国内製薬メーカーの売上上位100社中93社、化粧品メーカーさんについては、(売上上位)30社中21社とは、直接お取引をさせていただいております。私どもは直接営業、直取りというものを大前提で、お仕事をさせていただいております。そういう意味では、本当に非常に幅広く、化粧品・医薬品というものを、業界でお取引をさせていただいております。仮に1社、2社さんが、なにか調子が悪くて業績が落ちたとしても、ほかの会社さんでカバーできる。そういう土壌でお仕事をさせていただいているというふうに考えています。

それから(スライドの)一番下に書いてあるのは、営業20拠点というところに関係してくるんですが、やはり印刷業でございます。どれだけデジタルが発達していっても、色に関しては、例えば画面越しに「(仕上げてほしいのは)この色だ」というふうに、説明できないんです。「こういう色で仕上げてほしい」というものを、例えば携帯・スマホの電話越しにやっても、色の説明はできないんです。

現物を見て、「この色に合わせてほしい」「こういった色を出してほしい」という感応的な部分は、現物を見ないと話ができないものです。そういう意味では、私どもの営業がお客様の近くにいるというのは、競合さんと比べると大きなメリットになっております。そういう地域密着型の提案型営業ができているというのも、強みでございます。

強み④ 高度な印刷技術・管理ノウハウ

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それから強みの4つ目ですが、高い参入障壁でございます。

どんな参入障壁があるのかと言いますと、なかなか説明が難しいんですけれども、例えばみなさん、薬の箱をイメージしてください。

裏側に、「一回何錠」とか、「なんとかっていう成分が何ミリグラム入っています」という表示があると思うんですけれども、万が一表示の間違いがあったときは、全品回収なんです。みなさんがお手に取られるときというのは、ちゃんとしたものしか取られていないので、あまりピンとこないかもしれませんが。

意外と印刷業は、そういう間違いが多いと言いましょうか、(表示すべき事項の)どこかが消えているといったことも、けっこうあるんです。ですから、そういったものが出たとしても、工場からそれを出さない仕組みをしっかり作って、お客様に評価していただかないと、こういう薬や化粧品のご注文は、いただけないんです。

そういう意味では、簡単に「印刷機があるから」「人がいるから」「ちょっとほかの業界の景気が悪いから、薬をやってみよう」と思って、できるような業界ではないということなんです。

もう一つの例としましては、中に入っている説明書。これを見られる消費者の方は非常に少ないんですが、これも非常に薬の世界では重要なファクターになっています。薬を買って、中に説明書が入っていないものが、万が一見つかったら、これも全品回収なんです。法律上、薬1個に対して、説明書を1枚必ず付けないといけない。入ってないものがあると、そのロットをすべて回収ということになるわけです。

何を言いたいかと言いますと、みなさん、例えばチラシを1,000枚注文をされたときに、「多めにできたんで、100枚サービスして1,100枚(納品して)おきます」という納め方は、絶対にダメなんです。「1,000枚」って言われると、1,000枚を過不足なくきっちり納めなくてはいけません。

なぜかというと、お客様のラインで作ってるときに1枚でも抜けたり、1枚でも多かったりすると、後々、大トラブルになるんです。もともときっちり1,000枚があれば、ものを作っていったときに、1,000枚なくなれば、「(過不足なく)1,000枚使ったんだな」というふうにわかるんですけれども。

仮に、薬があって、箱があって、説明書があるとします。薬を1,000個作ったとして、説明書が1枚だけ残った場合は、これは「(説明書が)1枚もともと多かったのか」もしくは「(説明書が)1枚入ってない箱があるんじゃないか」と、大変なことになるんです。そうすると、作った1,000個(の薬の箱)を、全部もう一回開けるんです。作った全部を捨てて、もう一回開けて作り直すんです。

こういうこと(があるの)で、数量の管理もきっちりできている会社じゃないと、お客様に評価をいただけません。そういう意味では、高い参入障壁があります。他の印刷をしている会社が、「じゃあ、うちもやります」と言って(簡単に医薬品包材や化粧品包材を)やれないのは、そういう意味でございます。

強み⑤ 業界初のモノ作りにチャレンジ

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それから、強みの5つ目になりますが、私どもはおかげさまで、今はトップシェアでやらせていただいておりますが、その現状に甘んじることなく、新しいモノ作りの仕方というものにチャレンジをしております。

今までは、印刷をして、加工をして、検品・検査をして、打抜をしてという工程ごとに分かれていたのを、例えば、加工しながら検品する機械をメーカーに作らせたり、糊付をしながら検品する機械をメーカーに作らせたりということで、できるだけ生産性が上がるように、かつ品質を落とさないようなものを、業界の中でも先駆けて取り組んでやっております。

この後にも出てきますが、省人化・省力化、そういったものに積極的に取り組んでいくという思いからやっているところなんですけども。こういう工程統合、それから検査・検品機能をビルドインした設備を導入しております。

ここから、ちょっと検査機付きの糊付機(のご説明)なんですが、この映像をご覧ください。

(映像が流れる)

濱:こういう新しい設備というものも、生産性を高めるための投資、それからチャレンジにも、会社として取り組んでおります。

部門別売上高

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続きまして、直近の決算の状況でございます。

部門別売上高のページをご覧いただきますと、前年比で、化粧品が約6億円、11.9パーセント、薬が2.3パーセント増えたということです。

これは、やはり化粧品の業界がかなり好調、医薬は堅調という状況です。我々の売上の比率は、化粧品と薬で1対4~5くらいですけども、比率としてそれだけ違うにも関わらず、絶対額で化粧品の伸びのほうが増えてるんですね。

本当にここ1年、2年、化粧品の伸びには凄まじいものがあります。この傾向は、しばらく続くんじゃないかなと思います。

要約損益計算書

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昨年は、化粧品がとくに忙しくて、私どもとしても作りきれない、お客様の納期に間に合わせられないというシチュエーションが、けっこう見受けられました。

売上原価の増加というところも、納期対応というものがあって外注費を増やしたこともありますし、売上総利益の販管費のところでは、やはり物量がそれだけ増えてますので、物流コストもそれに合わせて増えてきているというのは、数字を見ててもわかるかなと思います。

①日本の将来人口

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続きまして、朝日印刷という会社を取り巻く環境というのは、この後どうなるんだというところでございます。

(スライドは)日本の人口の推移をグラフ化したものでございます。

この棒グラフが、人口になります。紺色が、いわゆる65歳以上の高齢者と呼ばれる部分になります。

人口は、2025年あたりから減少に転じていきますが、65歳以上の高齢者と言われる方々は、まだ増え続けるんですね。何を言いたいかと言いますと、やっぱり年齢が上がれば上がるほど、薬が必要になってきます。世の中の産業は、この人口減にどう対応していくかということで、今一生懸命やってらっしゃいますが、私どもの市場におきましては、もう少しそれが先になります。10年、15年くらい後からやってくるんだと思うんですが、そういう意味では、まだ市場としては緩やかではありますが、拡大をすると見ております。

②拡大する医薬品市場

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そしてこれも、みなさんもよく新聞紙上等で聞く話ではありますが、ジェネリックに切り替えていこうということで、数年前、安倍さんが「骨太方針2017」の中で、ジェネリック(使用量)を8割まで持っていくことを掲げて、一生懸命取り組んでいるところでございます。

2017年9月は(ジェネリックのシェアが)65.8パーセント。直近の新聞では、70パーセントにいったんじゃないかということが出ておりました。当初思い描いたスピードより少し鈍化はしてますが、順調にジェネリックに切り替わってきているんじゃないかなと思います。

そういう意味では、一時期の勢いは少しなくなりましたけれども、このジェネリックを含めた医療用医薬品の伸びというものも、まだまだ堅調にこの後推移していくだろうと見ております。

③拡大するOTC市場

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そしてOTC、いわゆるドラッグストアで販売されているものでございます。

(スライドの右の図は)ちょっと見づらい絵になりますが、どういった意味かと言いますと、絵の左側は健康な方、右側はそうじゃない方。健康な方は、当然(薬は)何も必要ないです。飲まなくても健康ですから。右側の方は、ちょっと言葉は悪いんですが、既に病気になってらっしゃる方、薬が必要な方です。

今、政府含めて、「セルフメディケーション」という言葉も出てきておりますが、やはりそこにいく前に、「健康なうちに、病気にならない体作りをしよう」「病気になったとしても、酷くならないように手を打っていこう」というところに、力を入れております。

それから、お医者さんに行くとどうしてもお金がかかるので、自腹でドラッグストアに行って薬を買って治そうという(ことも)、そういう政策の1つですけれども、このあたりが少しずつ、今拡大してきてるんですね。この「(薬局・ドラッグストアでの)地域包括ケア」というもので、ドラッグストアや町内薬局を中心に、地域の方が集まって、そこで健康に対する施策を聞いたりアドバイスを受けたりという、そういう動きも少しずつ出てきております。

それから、これはまだまだこれからになると思うんですが、政府もこのOTCというものを(国民に)もっと使っていただこうということで、昨年からセルフメディケーション減税というものを出しました。ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、薬局で買った薬の総額が年間で12,000円以上でしたか、(それぐらい)使った場合には還付するということで、少しでもOTCを使ってくれということです。

我々にとっては、こういう薬局で売られる箱というのは、加工度も高いですし、そういったもの(セルフメディケーション)が動いてくれると、我々にとっては非常にありがたい、活気づくという政策になります。

④拡大する化粧品市場

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そして、先ほどからも申し上げておりますが、化粧品です。こちらは、数年前のインバウンドを皮切りに、その勢いがまだ留まるところを知りません。

銀座などを歩いてみても、海外の方がたくさん居て、百貨店・デパートの化粧品売り場に行っても、外国の方々がメインに商売をされているという話をお聞きすることもあるんですが、本当にこのメイド・イン・ジャパンというモノづくり(によるブランド価値向上によって)、化粧品がものすごく売れています。

例えば、大手の資生堂さんなんかは、数年前にベトナムに工場を作りましたが、今はまたメイド・イン・ジャパンに戻して、大阪と栃木と2拠点で大きな工場を建てると(いう方針を)掲げられました。KOSEさんも然りです。

日本でモノづくりをして、メイド・イン・ジャパンという化粧品を海外に展開していくんだという、むしろそういう動きになってきておりますので、本当に市場全体も活気づいております。化粧品でもCMをやりだすようになってますし、やはり業界として、かなり積極的どころか、今までにないぐらいの投資意欲をって、工場を建て、土地を買って、それから人を採用する戦略を打ってらっしゃいます。

そういう意味では私どもも、この化粧品という第二の柱が、数年間でもかなり爆発的に伸びておりますし、我々にとっても大きな追い風になると考えております。

OTC・化粧品市場に対する朝日印刷の取り組み

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OTC・化粧品がこれから拡大していくと見ている中で、朝日印刷はどうするかということです。

4つ挙げておりますが、1つは営業体制の強化。これはまず、人的な強化になります。先ほども言いましたが、84名の新入社員に入社をしていただいております。昨年も同様に70人前後だったと思いますが、モノづくり、それから営業販売員にも強化をしていかないといけないものですから、そういう体制の強化をします。

それから(スライド掲載の写真は)箔押機とAI機能付きの印刷機でございますが、こういった高加飾印刷機・加工機も導入をして、生産性を高めてモノづくりをやっていこうというところでございます。

ちなみに、従来の箔押機のスピードは、1時間に3,000枚ぐらいでしたが、それがこの多面箔押機では8,000枚(のスピードで)やれるんです。機械のハードの値段も倍以上はするんですけれども、そういったところよりも、やはり生産性を高めてたくさんモノを作れる体制を整備しております。スイスのBOBSTという会社のもので、おそらくまだ世界で見ても15台ぐらいしかない機械だと思いますが、すでに私どもは2台導入して、フル稼働でやっております。

右下のAI機能搭載の印刷機は昨年導入したものですが、これも多色で7~8色に対応した印刷機でございまして、(印刷の)段取りや時間を極限まで短くできるものです。1つのジョブをやりながら、次の準備もコンピューターがいろいろ計算をして、オペレーターに対してこういう段取り、こういう順番でやっていけという指示ができるような機能を持った印刷機でございます。

こういったAI機能付き印刷機も、まだまだ日本には数台しか入っておりませんが、私どもは京都に1台、富山に1台入れておりますので、早く十分に稼働をさせて、効果を出していきたいと思っています。

左下の、バイオマスPETクリアパッケージは、化粧品でよく使われるクリアカートンと呼ばれる、中身が見える箱です。プラスチックケースですけれども、バイオマスですので、非常に環境に優しい成分を使ったパッケージでございます。とくに化粧品業界は企業イメージを大事にされますので、「こういうものを使ってます」ということも、1つの売りになります。こういったところでも、お客さまの食いつきが非常に良くなってきます。

先ほど、京都に初めて私どもの工場を作ったと申し上げましたが、第2期の工事として、この増えていくであろうOTC・化粧品の生産体制構築に向けた工事を、スタートさせるつもりでおります。

中長期経営計画

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続きまして、私どもの中期経営計画になります。

AD2021計画。2021年に向けてでございますが、スローガンは、「『Open』The Future!!」です。これは造語です。未来の扉を開いていこう、みんなで開いていくと、従業員に向けて発信しているものでございます。

「チェンジ!! 感動!! ぶっちぎり!!」は、「会社をチェンジしていこう」「お客さまに、投資家のみなさんに、ステークホルダーのみなさんに感動していただこう」、そして「最終的には、競合他社をぶっちぎる」。そういう会社になっていこうというものでございます。

成長ロードマップ

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成長のロードマップです。

中期経営計画は5年を見ておりますが、昨年スタートしまして、今年2年目を迎えております。

昨年、今年、来年の序盤の3年間で、しっかりモノづくりができる体制を整えたいと考えています。注文をたくさん取ってきても捌き切れる、利益が出る体制を今整え、残り2年半から3年で、その整えた土台をしっかりと使って発展していくといういうストーリーでございます。

そのために、先ほどから申し上げておりますとおり、AI機能付きの印刷機であったり、工程統合した加工機、それから糊付機であったり、検査ができる機械であったり、省人・省力化に取り組んで生産性を高めて利益をもっと出せる、そういうモノづくりの仕組みにトライしていく。そういう1年半になっていくと思います。

AD2021計画 10の長期ビジョン

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こちらが中期経営計画の10の大きなビジョンになります。

1から10のビジョンに、それぞれブレイクダウンして、それぞれの人間・部署で何をすべきかというところを、計画を立てて、現在実行しているところでございます。

AD2021計画 働き方改革を加速

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先ほどから言っておりますとおり、省人化・省力化に関して言えば、ワークライフバランスの向上です。なかなか印刷業という産業自体、非常に以前から3Kの代表的な産業と呼ばれております。「汚い」「きつい」、いろんな言い方をされておりますが、我々としては早くそういう産業イメージから脱却したいと思っています。

「少なくとも朝日印刷はそうじゃないんだ」ということを、働いてる従業員にも理解してもらいたいという思いから、多少お金をかけてでも省人・省力化の推進をし、そして生産性を高めて、今年は年間休日を5日間増やしました。そして、所定労働時間も15分短くしました。在宅勤務ができるような社内体制、フレックス勤務。そういったものも導入し、パートナー社員にも長く安心して働いていただくために、正社員化もしました。

健康経営格付けというものがあるんですが、そういったものの格付けもいただいて、少しずつ従業員に対しても、こういうワークライフバランスを整える宣言をしてきておりますので、(それを)実感してもらえるような体制づくり、仕組みづくりにも力を入れております。

結果、そうすることで生産性も上がり、社内風土も良くなり、会社の業績発展に向けて大きな力になっていくと考えております。

部門別売上予想 2019年3月期

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続きまして、今期の業績の予測でございます。

部門別の売上の予測を見ていただきますと、やはりこちらも化粧品の好調さが引き続き牽引してくれるだろうということで、化粧品・OCTといったところへも、会社として注力していく1年になっていくかなと思っております。

配当方針について

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最後になりますが、配当方針につきましては、以前から変わっておりません。配当性向30パーセント以上は、みなさんにお約束をさせていただいて守らせていただいているところでございますので、ここはきっちりとこれからも守って、配当を還元していくということでございます。こちらも引き続き、しっかりとやらせていただきます。

駆け足になった部分もありましたが、以上で私ども朝日印刷の説明を終わらせていただきます。本日は誠にありがとうございました。

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