世界的に株安の動きが広がっています。日経平均株価も1万9500円を割り込み、約3ヶ月半ぶりの安値となっています。そんな中、ラジオNIKKEI「櫻井英明の投資知識研究所」などにも出演する、「兜町カタリスト」編集長の櫻井英明さんは、著名投資家ピーター・リンチ氏、ウォーレン・バフェット氏の言葉を引き合いに出しつつ、こんな時だからこそ確認しておきたい投資スタイルについて語ってくれています。
株価投資家ではなく株式投資家を目指すべき
「株価の今日や明日、来週の動きは単なる気まぐれでしかない」これはピーター・リンチ氏の言葉ですが同じようなことをバフェット氏は「今日や明日、来月に株価が上がろうが下がろうが私にはどうでもいいのです」と言っています。
刹那的に株価を追い求める投資家にとっては関係のない言葉かも知れません。「いや、今日の前場や後場の動きが大事なんだ」。それはそれで投資スタンスの違いから生じるものでしょう。
株価を売買するのは超短期投資。
超高速売買に支配された短期投資に人間の指が勝てる訳はありません。これは機械に任せる範疇でしょう。
誰よりも早く売買することで利益が拡大するのなら、コンピュータを駆使したヘッジファンドが負けている筈がありません。
でも現実はある調査では世界の残高でETFに抜かれ、パフォーマンスが向上せず閉じるヘッジファンドが多いのも現実。
むしろスピードを競わないユックリ投資にも分がありそうです。
「人の行く裏に道あり花の山」は相場格言ですが、人とスピードを競ってもそれはババ抜きゲームの拡大版。
そうではなくて、むしろナポレオンのようにひっそりゆっくり楽しむゲームに興じても悪くはないでしょう。
一喜一憂して日々を過ごすのも株式市場ですが、バファット氏の言葉は「愚かさに参加するのではなく、愚かさから利益を得る人々の一員になる」。
自分ひとりが勝者になれる訳でもないでしょうが喧騒の中で浮遊するよりも喧騒の外から正体を見極めることも可能です。
お祭りのみこしを担いでいると、瞬間的なギリシャ問題や中国の動向、アメリカ金利動向などに追われがちなもの。
しかしQE(金融緩和)をやめれば株は下がるというシナリオは逆に2013年11月に本当に金融緩和を止めたら株高につながりました。
近視眼的には「変だ」と感じられるものが、株式市場ではよくあること。東京で悪材料視されてものは一夜明けて地球を一周すればいつの間にか好材料として帰ってくることもよくあること。そんな場所で踊る必要はありません。
株価投資家ではなく株式投資家を目指すべきだと思います。
『「兜町カタリスト」』(2015年8月21日号)より一部抜粋
※太字はマネーボイス編集部による