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相続税を節税するためにはどうすればいいの?知っておきたい2つのパターン

相続のご相談を聞いていると、やはり相続税に関するお困りごとは多いです。税額の試算、シミュレーションや詳しい減税の特例などは提携先の税理士をご紹介しているのですが、今日は、細かい計算の話ではなく、相続税を減らす考え方のコツをお伝えします。(行政書士・山田和美)

「特例を活用すること」と「財産価値を減らすこと」がポイント

まずお伝えしたいのは、相続税を減らす対策は、おおきく分けて2パターンだということです。

1つは、国等が設けている「特例」をうまく活用すること。
もう1つは、財産の価値を減らすこと。

これだけです。

まずは特例の方から見ていきます。
相続税の特例にはいくつか種類があって、例えば、亡くなった人の夫や妻が相続した財産についてはかなり相続税が軽減される「配偶者控除」、住んでいる家や事業に使っている建物の敷地をとても安く評価してくれる「小規模宅地の特例」などがあります。

また、生前の資産の移転を促すために、住宅や住宅を買うための資金の贈与の際に贈与税をかなり安くしてもらえる「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」制度や、一定の教育資金の贈与を受けた場合に贈与税が非課税になる、「教育資金贈与の非課税」制度といった、贈与税の特例もあります。

このほかにも様々な特例がありますので、自分はどの特例が使えるのか、この特例を使ったら有利か不利かの判定とあわせて、税理士に相談をしながら使っていくのがベターです。

なおこのような特例には、それぞれ細かい要件が定められていますので、判断には注意が必要です。

さて、もう一つの相続税を減らす方法は、「財産の価値を減らすこと」です。

相続税は、ざっくりとお伝えすると、土地、建物、預金、株、有価証券……など、その方が亡くなったときに持っていたすべての財産を合計して、そこから一定の控除額を引いて、仮に「法定相続分」という決まった分け方をした場合のそれぞれの取り分に、税率を掛ける、という計算をします。

つまり、「持っていたすべての財産」の価値がさがれば、相続税は安くなる、と言えます。では、財産を減らす方法には何があるのでしょうか。

これは、意外とシンプルです。
財産(お金)を減らす方法は、原則として、

  1. 使う
  2. あげる
  3. 評価が安いほかのものに変える

の3パターンしかありません。

「使う」、というのはそのままの意味で、旅行に行くとか、食事をするとか、ということです。また、価値の高くない日用品などの購入も「使う」に分類できるでしょう。

「あげる」というのは、贈与したり寄附をしたりすることです。しかしただあげてしまうと、もらった方に贈与税などの税金がかかってしまうので、前述した「贈与に使える」特例の利用を検討したり、寄附先や金額を検討したりするなど、注意が必要です。

最後に「評価が安い他のものに変える」ですが、これはシンプルに言うと「ものを買う」ということです。

相続税の計算をするときには、それぞれの財産に決まった計算方法があります。この中で、原則として一番評価が高い(そのまま)なのは、現金や預金です。

例えば、3,000万円の預金で買った3,000万円の建物は、相続税の計算上、3,000万円よりもずっと安く評価されることがほとんどです。これが「評価が安い他のものに変える」ということです。

相続税を安くする対策は、この組み合わせで行うことがほとんどです。気になる方は一度、税理士さん等にご相談してみてはいかがでしょうか。

また、せっかく決まった対策をスムーズに実行するために、遺言書の検討もあわせて行われることをおすすめします。そしてその際には、税金さえ安くなればなんでもいい、という事ではなく、「この対策をしたら、のこされる家族は本当に安心するだろうか」という視点を、ぜひ忘れないで頂きたいと思います。

こころをつなぐ、相続のハナシ』2015/8/26号より一部抜粋
※太字はマネーボイス編集部による

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愛知県の行政書士山田和美が、相続・遺言について情報を発信するメールマガジンです。ご家族が亡くなる、ご自身の相続に備えて準備をする。そういった経験は多くの場合、一生に数える程しかありません。だからこそ実際に直面したとき、何から手を付けて良いかわからず戸惑ってしまったり、知らなかったが故に不利益を被ってしまう事が多々あります。このメルマガでは、「相続人って誰のこと?」という基本的な事から、「相続が起きると銀行口座どうなるの?」等のより実務的な疑問まで幅広くお伝えして参ります。

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