なぜ「マイナンバー制度」に飛び火?東京五輪・佐野エンブレム問題

今年10月に12桁の個人番号が通知される「マイナンバー制度」。9月2日の衆院本会議で制度の適用範囲を金融分野などに拡大する改正マイナンバー法が成立するなど、本格運用に向けた準備が急ピッチで進行している。

ところがここにきて、そのマイナンバー制度のマスコットキャラクター「マイナちゃん」に、あろうことか“佐野研二郎パクリデザイン”疑惑の目が向けられはじめた。

「マイナンバー制度に佐野研二郎氏の兄・Q氏が関与」ネットで拡散

マスコットキャラ「マイナちゃん」に疑惑の目、兄弟繋がりで

今回の“マイナちゃん騒動”は、東京五輪エンブレムを取り下げた佐野研二郎氏の兄で経済産業省官僚のQ氏がマイナンバー制度に関わっているらしい、とのタレコミ情報が発端だ。

その内容は「『自民党IT戦略特命委員会 マイナンバー利活用推進小委員会』に、経産省の内部部局である商務情報政策局から(あの佐野氏の兄にあたる)Q氏が参加していたぞ!」というもの。

匿名のネットユーザーが、同委員会の参加者名が記載された資料(PDF)を2ちゃんねる掲示板などに投稿し、ネット上でまたたく間に拡散した。

これをキッカケとして、一連の五輪エンブレム問題に不満を抱くネットユーザーを中心に、マイナンバー制度のマスコットキャラクター「マイナちゃん」への佐野氏の関与を疑う機運が高まったようだ。現在は「マイナちゃん」の権利関係を調べたり、キャラクターデザインのパクリ元を“掘りはじめる”者があらわれ、新たな騒動となっている。

個人向けマイナンバーは12桁にもかかわらず、数字の「1」を不自然に押し出しているようにも見える「マイナちゃん」のデザインに関しては、五輪エンブレム問題が発覚する以前から一部で「携帯番号11桁化の時のキャラクターに酷似している」との指摘があり、それも今回の騒ぎに拍車をかけていると思われる。

もっとも、現時点では、「マイナちゃん」への佐野研二郎氏の関与や、他キャラクターの模倣を示す証拠は発見されていない。騒ぎはあくまで「ゲスの勘ぐり」の域にとどまっている。

ネットで拡散中の「マイナンバー利活用推進小委員会」に関する資料にしても、以前から自民党のICT戦略Webサイトで公開されていた情報にすぎない。

仮に疑惑が事実なら、ただでさえ懸念の声が大きいマイナンバー制度を根底から揺るがす一大スキャンダルとなるところだが、いまのところその心配はなさそうだ。

なぜ擁護すればするほど延焼?佐野エンブレム問題のむずかしさ

マイナンバー制度を推進する政府や、佐野氏の兄で経産省官僚のQ氏にとって、とんだトバッチリとなった今回の“マイナちゃん騒動”。

そもそも五輪エンブレムの取り下げ決定前後から、業界関係者や文化人を中心に、佐野氏に対する行き過ぎたバッシングを懸念する声は上がっていた。創作論の観点から佐野氏の制作スタイルに一定の理解を示す声や、佐野氏の家族への誹謗中傷を心配する意見も多い。

それにもかかわらず、「一般国民」の立場を標榜する一部ネットユーザーの怒りが収まらない背景には、エンブレム選考過程の不透明さ、盗用を否定しつつ雲隠れをつづける本人の姿勢、「一般国民の理解は得られない」から取り下げたという“上から目線”の理由説明など、佐野氏サイドおよび五輪組織委に対する拭いきれない不信感がある。

過剰な佐野叩きを疑問視する見方に対し、「的外れな批判だ」「論点をずらすな」「むしろ叩き足りない」「超えちゃいけないラインがスタートラインだ」といった反感は根強く、両者の溝は簡単に埋まりそうにない。ネット上での佐野パクリ問題の徹底検証、監視は当分続くだろう。

9月4日には、佐野氏が手がけた多摩美術大学ポスターの写真素材盗用疑惑に関して、“パクリ元”とされるメガネ・サングラス総合情報サイト『GLAFAS』が、佐野氏サイドの盗用を強く疑わせる新たな検証結果を公開した。

リアルタイムで新たな疑惑が噴出し燃料となるいまの状況では、誰が佐野氏を擁護しようと火に油を注ぐ結果にしかならないようだ。

政府がマイナンバー制度の導入を滞りなく進めるためにも、一連の炎上騒ぎをいい加減に鎮火させるためにも、結局のところは、雲隠れ中の佐野研二郎氏本人が現れて説明責任を果たすしかないのかもしれない。

文/さぶまりん山田

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