背に腹は代えられぬ?読売が財務省案を叩く理由
もともと消費税を5%から8%に引き上げるときに軽減税率を導入しようという動きはありましたが、制度構築に時間がないことから10%に引き上げるときに導入することにはなっていました。
消費税率10%になるのは2017年4月ですね。生活必需品は8%のままというのがそのときの合意だったと思います。
公明党が軽減税率導入を選挙公約として掲げていました。今から思えば集団的自衛権の目くらましのように思えてなりません。自民党も選挙公約ではアベノミクスを思いっきり前面に出していましたからね。
思えば先の選挙は、消費税率10%引き上げを先延ばしすることに対して国民の信を問う選挙と総理は言っていました。小泉郵政解散のときと同じ、シングルイシューを装って、肝心なことは表に出さないものでしたね。
さてこの軽減税率、G20会合で麻生太郎財務大臣が思わず「面倒くさい」と本音を漏らしていたことが話題になっています。失言はイコール本音ですからね。
その後のマイナンバーカードを活用した財務省案、公明党側は反対を唱えているようですが、実は北側一雄副代表は財務省案を知っていたが、山口那津男代表は知らなかったと、あるジャーナリストは言っていました。
集団的自衛権閣議決定のときも、同じようなことがありましたね。西日本新聞2014年6月20日付け記事で、集団的自衛権に関する新3要件は、公明党の北側一雄氏が内閣法制局に作らせ、自民党高村氏に渡したものだと書かれています。
これに関しては本メルマガでも報道されたときに取り上げましたが、このときも山口代表は聞かされていなかったと言われています。
これもあるジャーナリストからの話ですが、軽減税率の財務省案に関しては、読売新聞が最も多く非難記事を出していました。安保法制よりも財務省を叩いていました。
新聞や雑誌はもともと軽減税率の対象になっているようです。国民の知る権利により、それを伝える媒体は、広くみんなが求められるようにしようという理屈だそうです。
ところが財務省が提案するマイナンバーカードを見せ、インターネットで還付請求する方法では、新聞が売れなくなると読売側は思ったらしいのです。ただでさえ、新聞販売部数は激減していますからね。
あるジャーナリストはあくまでも「噂話」と注釈をいれて、実は読売新聞は、財務省官僚の天下り先として今まで人を受け入れてきたにもかかわらず、この仕打ちは何だと、渡辺恒雄会長が激怒しているということを言っていました。
読売新聞にとっては、安保法制よりも軽減税率のほうが大事なのですかね。
軽減税率は、一見、私たちにとっては良い政策のように見えますが、裏では業界団体の駆け引きを助長させ、政治家の利権を膨らますことにもつながりそうな、結構ナイーブな問題も含んでいるのです。
かつて鳥越俊太郎氏はテレビで「われわれ国民にとって良いことは、行政にとっては面倒なことが多い」と指摘していましたね…。
『らぽーる・マガジン』(2015年9月21日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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