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「日本郵政の、日本郵政による、日本郵政のための官製相場」が始まる=近藤駿介

GPIFに代わって官製相場の主役に躍り出るのは「ゆうちょ銀行」と「かんぽ生命」?11月4日の郵政3社上場を前に、東証の主体別売買動向に早くもその兆しが現れているようです。元ファンドマネジャーの近藤駿介氏が解説します。

IPOに向け強化される「日本郵政による日本郵政のための相場演出」

日本株の売り手が“短期筋”ばかりとは限らない

またまた怪しげな記事。日本のメディアの多々ある欠点の中の1つは、売り手は常に「短期筋」、買手は「長期投資家」だと過剰演出すること。

株式相場で大型株の上昇が目立っている。時価総額が大きい銘柄で構成する東証の大型株指数は9月29日の安値から11%上昇した。米利上げや中国景気への悲観論がやや後退し、景気敏感の主力株中心に買い戻しが広がっている。一部の海外勢や長期投資家が、割安感から主力株を買い出したとの指摘もある。
出典:10日付日本経済新聞「大型株が上げ主導」

投資主体別売買動向をみると、9月28日から10月2日の週に「海外投資家」は1985億2368万円の売り越しになっている。売り越しは8週連続で、その間の売り越し総額は4兆円を超えた。こうした統計があるなかで、足下日本株を売り越している「海外投資家」は皆「短期筋」だというのだろうか。

主体別売買動向で注目されるのは、「信託銀行」と「その他の金融機関」。

「海外投資家」が1985億円強売り越す中で、「信託銀行」は2382.5億円、「その他の金融機関」は252.9億円を買い越している。

「海外投資家」が8週連続の売り越しを記録するのとは対照的に、「信託銀行」は6週連続買い越し、「その他の金融機関」は9週連続の買い越しとなっており、「海外投資家」の売りを吸収する格好になっている。

「その他の金融機関」の内訳は、「具体的には、信用金庫、信用組合、農林系金融機関、各種共済、政府系金融機関(整理回収機構含む)、外国銀行の在日支店等が該当」(東証HP)。

ここでの注目は「各種共済」。10月からのGPIFとの運用一元化を進めて来た公務員3共済が、国内株への投資比率を高めたGPIFを追い掛ける形で国内株式の比率を高めて来ていたことを想像させるもの。

一方、「信託銀行」で注目されるのはGPIF。しかし、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)や公務員らが加入する共済年金は4-6月期に、国債・財融債を9577億円、日本株も4068億円売り越した」(Bloomberg)。

基本ポートフォリオの変更で一時買の主役となったGPIFも、所詮は掛け金収入を年金給付金が上回る「資金流出主体」。「買いの主役」を務められるのはポートフォリオ変更の完了まででしかない。

Next: GPIFに代わり官製相場の主役に躍り出る「ゆうちょ銀行」「かんぽ生命」

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ファンドマネージャー、ストラテジストとして金融市場で20年以上の実戦経験を持つと同時に、評論家としても活動して来た近藤駿介の、教科書的な評論・解説ではなく、市場参加者の肌感覚を伝えるマガジン。

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